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付近住民、管理に疑問 猿別水門操作不能

浸水被害拡大の要因となった猿別水門。両端上部が操作室になっている

 【幕別】台風10号による災害で8月31日に町内を流れる猿別川の「猿別水門」(国管理)が一時閉まらず、旧途別川に水が逆流して冠水被害が発生した問題で、被災者から早期の原因解明を求める声が高まっている。水門操作に関わった人から「電気ブレーカーが落ちていた」「開建(帯広開発建設部)職員がいても閉められなかった」などの証言も出ているが、帯開建は発生から3週間経った現在も「調査中」として公表時期を示していない。

 猿別、相川地域約300ヘクタールが冠水し、床上・床下合わせ住宅約50戸が浸水、多くの農地も水に漬かった。

 水門は国が管理し、委託を受けた地元の管理人が操作を行う。町が帯開建から受けた説明では、31日午前5時前に管理人から「水が逆流しているが、操作できない」との連絡が帯開建池田河川事務所にあった。水門と離れた位置にある操作室からの遠隔操作では動かないため、駆け付けた帯開建職員が水門上部の部屋で直接操作し、午前7時すぎに水門は閉まったという。

 しかし、知人の水門管理人から電話で助けを求められ、午前6時すぎに操作に加わった相川の農業石井和義さん(40)は、上部の操作室に駆け付けた際、「開建職員は複数いたが、水門は閉めることができていなかった」と証言する。

 別の樋門(町管理)の管理人も務め、構造に詳しい石井さんによると、門を下げるボタンを押しても漏電を示すランプが付くため、配電盤を開けたところ、4つある電気のブレーカーが全て下がっていた。上げて再操作すると2つの門のうち1つは閉まり始めた。しかし、もう1つは別の不具合で動かず、工具を取りに行って直したという。

 相川で浸水被害を受けた事業所の経営者男性は「(開建の)水門の管理体制に問題があったのでは」と話す。水没した機械などの被害額は数千万円に膨らむ。男性は「真摯(しんし)に受け止め対策を。町もしっかり窓口になって対応してほしい」と求める。

 15日には、地域の4公区から出された原因解明や対策を求める請願も町議会で採択された。帯開建は水門閉鎖が遅れた原因を「調査中」とするが、石井さんは「聞き取り調査などは受けていない」とする。

 調査結果の公表時期について、帯開建は「まだめどは立たないが、ある程度まとまった段階で公表したい」(広報官)としている。(眞尾敦)

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