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孤立の乳牛救出 御影で不明 10キロ下流で

暴れて落ちるのを避けるため、最後は足を縛り逆さ吊りして、約20メートル上の橋まで引き上げられた

 【芽室】台風10号による増水で被害を受けた国道38号・芽室橋の補修工事現場で5日午後、芽室川の上流から流され、河川敷で孤立していた乳牛1頭が助け出された。

 現場は歩道や橋脚の土が崩れた芽室橋の上流の同川左岸。台風通過後の8月31日、河川敷に牛がいるのが見つかった。所有者は約10キロ上流の清水町御影の農業白木邦彦さん(63)で、川の増水で畜舎が流され、16頭が行方不明になった。見つかったのはその中の1頭で1歳の雌牛だった。

 救出作業は、補修工事で川の流れを変えるタイミングを利用。ブルドーザー2台が土砂を盛り上げ、川の瀬が変わるのを白木さんやJA関係者11人が川辺でじっと待った。約3時間後、川の水が引いたところで牛に近寄り、救出した。

 用意した餌を勢いよく食べるなど、牛は元気な様子。河川敷から約20メートル上の橋に上げるには大型のクレーンを使った。立ち姿のまま吊り上げる予定だったが、空中で暴れて落ちる心配があったため逆さで吊り上げ、スタンバイしていたトラックに収容した。

 5日ぶりの再会に、白木さんは「元気そうでよかった」とほっとした表情。工事を担当する宮坂建設工業(帯広)の斎藤宏明土木部長は「(所有者に)戻せてよかった。生命力が強い牛なので、良い母牛になってほしい」と話していた。
(安田義教)

足元まで迫る川の水を心配そうな表情で見つめる牛

所有者らの姿を見たためか、川に入り移動する牛。流されてしまわないか、関係者はハラハラしながら見守った

芽室橋上流の左岸に流れ着いた牛(右)。所有者やJA関係者らが川の水が引くのを待つ


水が引いた川を渡り、牛を助け出す関係者。右手前は芽室川の増水で土が削り取られた橋脚

牛が暴れて落下するのを防ぐため、最後は足を縛り、逆さで吊り上げた

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