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平和再考「被爆体験著書に 十勝で教壇に立った安井さん」

自身の被爆体験や平和運動についてつづった著書と安井さん

 【札幌】十勝管内の中学校で26年間教壇に立った安井晃一さん(91)=札幌市在住=が、広島原爆(1945年8月6日)での自身の体験などをつづった著書「手記・被爆者Yの生涯」(郁朋社)を出版した。安井さんは陸軍の船舶通信隊員として兵役した際に被爆、教員退職後は原爆症認定を求める活動や、核廃絶に向けた取り組みを行ってきた。戦後70年を迎える今年、核兵器の恐ろしさや被爆者の実像、平和の尊さについての貴重な記録として関心を集めている。

 安井さんは1924年函館市生まれ。小樽で少年時代を過ごした後、42年に日本大学芸術学部専門部創作科に入学。軍隊招集で繰り上げ卒業となり、配属先の広島県皆実町で任務に就いていた。終戦とともに道内に戻り、小樽、札幌での生活を経て54年一家で十勝に移住。同年から、幕別中を皮切りに新和中、広尾中、上士幌中で美術や国語の教員として勤務した。

 教員時代、原爆症の認定を受けていなかった安井さんは、周囲から被爆者手帳の交付を受けるよう勧められていた。退職後に札幌で入院していた際、患者として運ばれた人が同じ被爆者だったという。そこで道被団協(現・道被爆者協会)の存在を知り、スウェーデンをはじめとする外国視察や、他の被爆者と共に原爆症認定訴訟を行うなど一連の活動につながった。

 著書では、これらのエピソードなどが写真入りでつづられている。安井さんは「戦後70年がたち、生き証人として自分が関わってきた原爆と平和問題を、後に続く人に伝える責務を感じた。国は被爆の検証をきちんとすべきだ。本を読んでもっと知りたいことがあれば、命ある限り語っていくつもり」と話す。

 200ページ。1200円(税別)。主要書店やインターネットの書籍販売サイトで購入できる。(浅利圭一郎)

 

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