19歳看護師の卵、自動車レースに初挑戦
【更別】19歳の女子専門学校生が28日、ドライバーとして自動車レースに初挑戦した。芽室町在住で帯広高等看護学院に通う後藤麿里花さん。二回り以上の年齢差がある“おじさまたち”のチームに誘われ、十勝スピードウェイ(TIS)で行われたJMRC公式戦北海道レースシリーズ「北海道クラブマンカップレース」第2戦に参戦。表彰台には届かなかったものの、尻上がりにラップを上げ、最終周で自己ベストをマークするなど堂々の完走を遂げた。後藤さんは「レースは快感。やめられない」と次戦への意欲を新たにしている。
後藤さんは芽室中、帯広南商業高校卒。父の賢司さん(54)が、TISを拠点に20年近くプライベート走行会を開いているグループ「SYSTEM-R(システム・アール)」のメンバーで、小さい頃から親子でサーキットに来ていた。車をこよなく愛し、自宅の部屋は自動車のポスターやプラモデルでいっぱいになるほどという。
今回のレース挑戦は、同グループの鈴木和亮隊長(45)=札幌市=が「若者の車離れが激しい。このままでは十勝からレースの灯が消えてしまう」との危機感から、初の試みとして有志で旧型1000ccVitz(ヴィッツ)を60万円掛けて仕上げ、今春、レーシングチームを立ち上げたのがきっかけ。「車がすぐには買えない若い世代に車を提供し、レースの楽しさを伝えよう」。ドライバーとして、後藤さんに白羽の矢が立った。後藤さんは5月末に国内A級ライセンスを取得した。
出場したクラス「TMSC Vitz/N1-1000」(10周)には管内外から9台がエントリー。後藤さんは20、27日の事前練習や公式予選、決勝第1戦では「カーブでスピンする怖さ」から攻め切れず、ラップが1分57秒~58秒台にとどまったが、決勝第2戦では一転。「カーブのコツをつかんだ。ギリギリを楽しむ」と尻上がりにタイムを上げ、自己ベストの1分54秒859をマークした。初レースとは思えぬ気の強さで、笑顔でチェッカーを受けた。
「上々のデビュー戦。彼女をきっかけに若い子にレースの魅力が伝わってほしい」と鈴木隊長。次は8月の7時間耐久(TIS)に参戦する方向で調整中。後藤さんは「こんなに楽しいことをしないのはもったいない」と、応援に来ていた同級生にもアピールしていた。(関根弘貴)