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氷灯夜はろうそくも地場産 まちマイ芽室編

施設利用者が役割分担して製作するアイスキャンドル用のろうそく

 芽室の観光イベントを代表するのが「氷灯夜」。バレンタインデーに合わせたメルヘンチックな空間が14日、芽室公園に登場する。まちマイ芽室編最終回は、今年も多くの来場客に楽しんでもらおうと、アイスキャンドルや雪像作りなどの作業に取り組む人たちの姿を追った。(深津慶太)

 氷灯夜を彩るアイスキャンドルのろうそくも“芽室産”だ。10年以上ろうそく作りに協力しているのは、障害福祉サービス事業所の「オークル」(西士狩北4線)。毎年、実行委員会のメンバーと打ち合わせを重ねて、要望通りのろうそく作りに取り組む現場をのぞいた。

 作業場はオークル横にある旧西士狩小の校舎の中に設けられている。玄関はひんやりとした空気が広がっていたが、作業場は廃ろうそくを溶かすために火を使っており、室内はとても暑い。

 原料となる廃ろうそくは帯広市内の葬祭業者などから譲り受けたもの。ろうそくを入れたやかんを火にかけて溶かし、芯を取り除く。そして、冷めないうちに型となる紙コップに注いでいく。

 

昨年のろうそく(左)に比べ、バランスの良い明るさにしようと芯を細くした今年のろうそく

ろうそく作りの責任者を務める同施設職員の細木建志さん(31)は「熱いうちに型に入れないといけないので汗だくです」とほほえむ。紙コップの上にはクリップが並べられ、芯となるひもが固定されている。熱いが芯がずれないように慎重に入れるのが難しい。

 注いだろうそくは半日ほどで固まる。型となるカップを外し、ホットプレートで形を整えて完成する。1日200~300個のろうそくができる。

 ろうそく作りは1万個を目指し昨年11月末にスタート。今回は氷の器がろうそくの火で溶けないよう、前年よりもろうそくの長さは短く、太さも細くすることになった。長さを短くしたことで燃焼時間も短いが、実験で3時間は持つことを確認した。

 「太さを細くすると火力は小さくなり、氷は溶けにくいが暗くなってしまうのではないか」(同施設の勝俣規正支援課長)という不安もあるが、細木さんは「当日どのような明かりになるのか楽しみ」と話している。

農業用コンテナに入れられたアイスキャンドル。イベント当日まで倉庫の中で保管される

きっかけは仏旅行 「馬鹿なこと」から名物に
 今年で25年目を迎える氷灯夜。管内のアイスキャンドルを並べるイベントの中では長い歴史を持つ。開催のきっかけは、一人の男性が海外旅行先のフランスで見た教会のアイスキャンドルの明かりだった。

 町内で農業を営んでいた大鐘延彌さん(故人)は1979年、好きなスキーを楽しむためにフランスのスキーリゾートとして知られるシャモニーの町を訪れた。「小高い丘の教会の参道に30個ほど並んでいたアイスキャンドルの神秘的な美しさを見て、芽室でもやってみたいと思った」(広報めむろ2003年2月号から)。

 帰国した大鐘さんは自宅でアイスキャンドル作りを始め、所属していた「芽室山の会」のメンバーらも加わった。大鐘さんの妻咲枝さんがつぶやいた言葉をきっかけに、アイスキャンドル作りはいつしか「馬鹿なことをする会」という愛称で呼ばれるようになった。

 初めは自宅にアイスキャンドルを飾り、友人を招いて鍋を囲むだけだったが、当時芽室公園で行われていた雪像などを展示する「冬まつり」に合わせ、88年から同公園でキャンドルを飾るように。91年から町観光協会(現観光物産協会)が主催し、「氷灯夜」に名前を変えて今に続く。

 大鐘さんの自宅には、馬鹿なことをする会が公園で初めてキャンドルを展示した、88年の道内ラジオ番組を録音したカセットテープが残されている。アイスキャンドルを飾り始めた経緯などを答える中で、出演した大鐘さんはこう語った。「このイベントが芽室の名物になればいい」。


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