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経営成功談が漫画に 帯広の石岡ひとみさん

自身がモデルになった漫画本を手にする石岡さん

4人の子供の母親で、石岡時計店(本社帯広)・石岡正雄会長夫人の石岡ひとみさん(54)が、9月に全国出版された漫画「名経営者に育った平凡な主婦の物語」の主人公として紹介され、話題になっている。漫画では、一主婦から全国チェーンのドトールコーヒーショップのオーナーになり、働く人の自主性を尊重するフロー経営の実践者として成功していく姿が描かれている。

フロー経営、母親経験生かす
 2004年、ドトールが石岡会長に運営を打診し、関連会社の「ai(アイ)」を立ち上げて、夫人のひとみさんが社長に就任、札幌福住店と札幌元町店の経営を始めた。13年に売り上げなどの総合順位で全国約2000店の5位に入り表彰された。

 専業主婦だった石岡さんは経営の素人だったが、12年にソニーの元上席常務天外伺朗(土井利忠)さんが主宰する企業経営者のためのセミナー「天外塾」を札幌で受講、働く人が自主的にさまざまな工夫をして人間的にも成長するフロー経営を実践。天外塾に入るまでは赤字続きで石岡さんは無給で働いていた。「生活費を夫から確保されて無給で働くことは、従業員に失礼だと思った」と振り返る。

 自分が時給分の給与をもらう代わりに従業員の時給も上げ、「何でもいいから売り上げにつながることをやろう」と呼び掛けた。従業員の意識が変わり、サービスや接客が向上。店舗の売り上げが飛躍的に伸びた。各自の能力が向上し、通常4人の時間帯が3人になるなど、時給が上がっても人件費は逆に下がり、会社の利益につながった。

 漫画の原作は天外さん。経営者の実話を伝えるために石岡さんが「モデル第1号」に選ばれ、実名で登場する。天外さんは「ソニー創業期の経営を体系化したフロー経営は、一般の経営が分からなくても大丈夫。その代わり、必要な人徳が石岡さんにはあった」と話している。

 天外塾の同期だった昇夢虹(しょうむこう、旭川市)社長の西嶋美代さんが出版を手掛け、同社の小川健一さんが作画。モデルも制作も「オール北海道」の作品に仕上がった。4000部発行し、インターネット注文では品薄状態の人気だ。

 石岡さんが経営者として成功したのは、母親の経験も生かされている。「一人の子供を独り立ちするまで見届けるのは大事業。女性は知らず知らずにすごいことをしている。育児は未来の基盤をつくる誇りある事業」と話し、「今でも自分で『経営者』なんて言うのは面はゆい」と謙遜している。A5判、105ページ。1450円。(酒井花)

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