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「節電もう限界」、十勝で初の説明会実施 北電

市民生活や地域経済への影響を心配する声が相次いだ北電の電気彫金値上げ説明会

 10月からの電気料金値上げを経済産業省に申請している北海道電力は19日、十勝の行政、経済・農業・消費者団体向けに、管内では初めての説明会を同社帯広支店で開いた。北電側は昨年9月に続く再値上げについて、泊原発(後志管内泊村)の停止長期化に伴う火力燃料費の大幅増を理由に理解を求めた。出席者からは「節電はもう限界」と市民生活や地域経済への影響を懸念する声が相次ぎ、値上げ幅圧縮を求めたり、原発依存に疑問を投げ掛ける意見などが出た。

 説明会には管内7市町村や団体から21人が出席。北電の相馬道広取締役(常務執行役員お客さま本部長)が再値上げに伴う負担増について陳謝し、「収支構造の抜本的改善を図らなければ、燃料調達や設備の保守・保全などに必要な資金の調達が困難となり、電力の安定供給に支障をきたす恐れがある」と説明した。泊原発の営業運転が復帰した後には電気料金の引き下げを行う考えを示した。

 帯広市の中野雅弘総務部企画調整監は「市民サービスの向上に大きな影響を及ぼす。十勝の経済は持ち直しているが、再値上げは水を差す」と値上げ幅の圧縮を求めた。十勝地区農協組合長会の辻勇副会長は「特に酪農家は毎日搾乳し、クーラーをかけている」と基幹産業の農業への影響を懸念した。

 原発依存への疑問の声も続出し、中札内消費者協会の中沢才子会長は「事故があったとき、北海道の農業や観光、産業は全滅してしまうのでは」と不安を口にした。バイオガス発電など再生可能エネルギーへの転換を求める声もあった。音更町消費者協会の中川健敏会長は、北電が想定する2015年度中の泊原発再稼働が遅れた場合、再々値上げがあるのかと追求。相馬取締役は「一番早く安全審査をパスして、再稼働できるよう最大限努力するとしか言えない」と明言を避けた。

 1時間半の説明会のうち質疑応答は1時間弱で、最後は時間切れで質疑を打ち切るような形で終了。発言者は出席21人中、7人にとどまった。参加者の1人は「多少、時間の延長をしても、質問を聞くべきではなかったか」と北電側の姿勢に不満を漏らした。

 北電は7月末、家庭向けで平均17・03%の再値上げを国に申請。企業向けも同22・61%引き上げる。管内では23日から31日にかけて、一般向けの説明会が同社帯広支店など5カ所で開かれる。(津田恭平)




<北電値上げ説明会 一問一答>
再稼働後に値下げ 再生エネ転換難しい 北電側

 北電帯広支店で19日に開かれた電気料金値上げ申請に関する説明会で、出席者と北電側の主なやりとりは次の通り。(発言順)

 中野雅弘帯広市総務部企画調整監 再値上げは市民生活や基幹産業に深刻な影響がある。値上げ幅圧縮の努力をしてほしい。

 相馬道広北電取締役 今回は燃料費のコスト増の分をお願いしている。さらなる効率化を図り、泊原発の再稼働後は速やかに値下げを検討する。

 辻勇十勝地区農協組合長会副会長 酪農など生産現場は電気を止めることができない。芽室町農協の場合、加工、農産施設を合わせると5000万円の経費上乗せ。十勝はバイオマス資源があり、原発だけでなく安定供給できる次の段階の施策を出してほしい。

 相馬氏 再生可能エネルギーは最大限取り組むべく努力をしているが、現時点で太陽光と風力を合わせても北海道で使われる電力の2割弱。バイオマスは燃料調達がネック。原子力や火力にすぐ取って変われず、需給安定とコストとのバランスの中で先が見通せないのが実態。

 仲沢才子中札内消費者協会会長 人件費のコスト削減をどう考えているか。また、原発事故は収束していない。

 相馬氏 人件費も他のコストも何ができるかを再度検討する。事故は起こさないが、あったとしても拡大させないよう国の審査を受けている。

 嶋山亮二芽室町消費者協会会長 コスト削減の結果が電気料金に反映される方向に変えてほしい。原発比率が他の電力会社より高いが、もっと再生可能エネルギーに力点を。

 相馬氏 今年度以降増える燃料費のうち、現在の電気料金の原価を上回る部分を見直すのが今回の値上げの趣旨。北海道は電気料金が日本で一番高かったが、原子力などの使用で震災前はそれなりのレベルの料金で提供できるまでになった。再生可能エネルギーを積極的に進めたいが、すぐに転換するのは技術的、コスト的に難しい。

 中川健敏音更町消費者協会 来年、泊原発が再稼働しなければ再々値上げをするのか。長期計画は。

 相馬氏 電力システム改革などを見極めて今度どうするか考える。今現在では、原子力は一定の役割をこれからも果たす貴重な電源と認識している。

 大西正和帯広消費者協会専務理事 再生可能エネルギーを増やすために、送電容量などインフラ整備が必要では。

 相馬氏 送電容量を増強すると設備コストが出て電気料金にはね返り、利用者の負担が増す。いかに効率的にできるか、総合的に考える必要がある。

 竹田悦郎道十勝管内商工会連合会会長 中小企業は身を削っているが、事業を継続できない企業が出てくる危惧がある。値上げの回避、抑制に努めてほしい。

 相馬氏 皆さまの声を重く受け止めたい。


◆北電による値上げ申請について
電気料金の値上げ申請について-ほくでん

関連写真

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  • 電気料金の再値上げについて理解を求める相馬お客さま本部長

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