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十勝で農業とITの新事業展開 富士通

牛の脚に付けた牛歩計。ここからデータが富士通のデータセンターに送られる(清水町のノベルズデーリィーファームで)

 国内IT(情報技術)大手の富士通(東京)は、十勝管内で、農業とITを結び付けた新事業を展開している。清水町内の大規模酪農牧場では、牛の歩数で発情を調べるシステムと、必要なプログラムやデータが全てインターネット上で運用管理される「クラウド」を組み合わせた仕組みを構築。別の管内畑作農業生産法人とも生産管理システムを開発中で、農業全体をサポートするメニューを提供している。

 農業の労働力が減少する中、現場では農作業の省力化、効率化の動きが加速している。その分野を担うべく、国内各業界の大手各社はITを使った農業生産システムの開発に乗り出している。最近ではトヨタ(愛知県)、IHI(東京)の他、帯広市内のIT企業も独自のシステムを開発している。

 富士通は以前から十勝に支店があり、十勝全24JA中22JAが使用する十勝農協連のコンピューターシステムなどを提供してきた。農業関連システムを開発してきた経験から、近年は生産現場にも直接貢献する食・農クラウド「Akisai=秋彩(あきさい)=」の開発・提供を進めている。

 秋彩の一部となる牛の管理システムを導入しているのは清水町のノベルズデーリィーファーム(伊東海二場長)。肉牛生産のノベルズ(上士幌町)が3年前に立ち上げた酪農牧場で、急速に頭数を増やし、現在は約900頭を飼養している。

 道内酪農家では、1戸当たりの飼養頭数が増加する中、発情の管理が難しくなってきている。妊娠せず搾乳できない期間が長引くと経営を圧迫することから、繁殖成績を左右する発情管理は重要性が増している。

 牛は発情すると歩数が通常の1・3~6倍になる。牛に歩数計を付けて発情を計測する手法は10年以上前からあったが、富士通は牛歩計業界大手のコムテック(宮崎県)と提携し、クラウドと組み合わせたサービスを開発。牛歩計のデータを富士通のデータセンターに送って管理し、農家のパソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)に送る。

 同システムは全国でも提供が始まったばかりで、ノベルズデーリィーファームは使用する牧場の中でも最大規模。伊東場長は「毎朝出勤すると、まずは発情のデータで動きのあった牛が分かる。同種の他システムに比べ、簡易で価格も安いことも利点。従業員も情報を共有でき、繁殖成績は上がっている」と効果を実感する。

 管内農業法人に提供・開発している畑作のシステムでは、生産計画や収穫・出荷、畑の状況、品質管理などのデータを蓄積して、農業経営を改善できる。

 富士通北海道農林水産営業部の山上雅憲さんは「牛の管理システムは韓国でも導入されている。十勝で実績を積み、世界展開していきたい」と話している。(眞尾敦)


◆農業ITについて
食・農クラウド Akisai(秋彩)-富士通ホームページ

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