「極めて異例」 大樹沿岸でクロマグロ60匹
大樹町沿岸で4日、暖流系の高級魚クロマグロ60匹が漁獲され、このうち50匹が5日、帯広地方卸売市場に入荷した。十勝沿岸でこれだけまとまった数のクロマグロが水揚げされることは異例で、関係者を驚かせている。
マグロが取れたのは大樹漁協が大樹沿岸に設置する春定置網で、1匹のサイズは10~15キロ。5日早朝から同市場に並び、キロ当たり2400円前後で管内スーパーや鮮魚店、回転寿司店「なごやか亭」などに販売された。
大樹漁協によると、今年の同漁ではクロマグロの他、同じ暖流系のブリなどがまれに漁獲されているが、60匹は「過去にも記憶がない数」(同漁協)。同市場水産部の平井智晃鮮魚主幹も「30年この仕事をしているが、大樹産クロマグロが50匹も並ぶのは初めて」と目を丸くする。
要因とみられるのが暖流の張り出し。水産総合研究センター北海道区水産研究所によると、道東沖では6月下旬ごろから、暖かい海水の塊である暖水塊が形成され、さらに暖水域の一部が岸に伸びる暖水舌の現象も確認されている。この影響で、クロマグロが岸に近づきやすい環境になったとみられる。
ただ、海水温が高いままだと、秋サケ定置網漁に悪影響が出る恐れも。管内での同漁解禁は今年8月末を予定。昨年も道東沖では暖水塊が発生し終息は9月中旬以降だった。同センターの黒田寛研究員は「暖水舌は暖水塊より寿命が短いと考えられているが、今後の動向に注意が必要」としている。(長田純一)