新小麦「ヌーヴォーパン」 全国100店で9月解禁
十勝の生産者や農産物卸会社、全国のパン店が協力し、収穫されたばかりの小麦で作ったパンを全国のパン店約100店で9月に一斉に発売する取り組み「とかち小麦ヌーヴォー」を始める。「新小麦」という新たな小麦の楽しみ方を提唱するもので、新小麦の小麦粉を予約したパン店に畑の情報を提供したり、パン職人を十勝ツアーに招くなどして産地と消費地を結び付ける。今月から、参加するパン店を募集している。
生産者、パン店、農産物卸のアグリシステム(芽室町、伊藤英信社長)が小麦ヌーヴォー委員会を組織して主催する。事務局は同社に置く。同社は契約農場の小麦を、自社の石臼式製粉工場で小麦粉にしてパン店などに販売している。これまでの産地とパン店をつないできた経験を生かして企画した。
参加店は、同委員会を通して十勝の小麦畑を自店用に予約でき、4月から収穫までのおよそ半年間、生育状況などの情報提供を受ける。パン店はこの情報を店に掲示し、国産小麦を使う店として大手チェーン店との差別化が可能となり、消費者にも小麦の産地を実感してもらうことができる。
新小麦パンの解禁日は9月23日を予定。東京都内と十勝でパンを味わいながら解禁を祝うイベント「小麦ヌーヴォーパン祭り」も開催する。「ヌーボー」はフランス語で「新しい」を意味し、同国ボージョレ地方のワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の解禁日にヒントを得た。
同社によると既に申し込みが進んでおり、東京の有名ベーカリー店をはじめ、十勝を含む100店以上が参加する見込み。伊藤英拓専務は「小麦は工業製品化されて季節感なく提供されているが、実は取れたてがおいしい。産地で製粉するからいち早く提供できる」と話す。
参加する生産者の島部亨さん(芽室町)も「今年産の小麦の出来を楽しんでもらえれば」と生産に力を入れる。
ベーカリー店「パンデュース」(大阪市)の米山雅彦シェフは「国産小麦のパンは風景が見える。この企画で小麦畑のことを語れるパン屋が増えてほしい」と期待している。
問い合わせは事務局の同社(0155・62・2887)へ。(眞尾敦)