トマト無暖房栽培の記録更新 帯農高 24日に最終収穫
暖房を使わないトマト栽培に取り組んでいる帯広農業高校(米田敏也校長)の園芸果菜類分会が、24日に今季最後の収穫を行い、昨年の最終収穫(12月4日)の記録を20日更新した。それぞれ二重になっているビニールハウスとトンネルの四重構造で保温、こまめな被覆材調節で色つきや糖度も保った。地元飲食店などに販売しているが「冬でも新鮮な地場産青果が食べられる」と好評を得ている。
道産トマトは夏場は出荷量が多く価格が下がるが、10月下旬~12月は暖房コストがかかり出荷量が激減、価格が上昇する。同校ではホウレンソウの年間栽培に取り組み、夏野菜の代表格であるトマトにも昨年度から挑戦している。今年度は同部会2年の道下翔平君、川上琴子さん、後藤友汰君、白川新大君、大石巧起君、太田治輝君が担当した。
育てやすく糖度が高い「桃太郎ファイト」を栽培。2月に種をまき、4月に1棟目のハウスに定植した。5月に採取したわき芽約200本を7月に別のハウスに移し、秋冬収穫用に育てた。昨年はハウスと二重トンネルの三重構造だったが、今年はハウスを二重にして保温効果を高めた。
地温を生かし被覆用マットをかけるため、トマトを寝かせて栽培。秋冬用トマトは10月から収穫を始め、11月中旬から温度調整した。毎日交代で登校前と放課後に外気温とハウス内の温度を記録。日中は太陽光を生かし色づきを良くするためマットを外し、夜間はかけて保温した。生育に致命的となる0度以下にならないように気を配った。
冬休み前の最後の活動に合わせて、24日に収穫作業を終えた。この日の帯広の最低気温はマイナス10・8度だったが、ハウス内は3度ほどに保った。収量も今月13日が25キロ、24日も15キロほどを確保、糖度はばらつきもあったが、夏収穫や市販の6度前後となる5~7度を保つことができた。
後藤君は「温度を保つのが大変だったが品質にも満足」と喜び、道下君は「日照時間が長い十勝の特性を生かして、夏場に近づける栽培方法を研究したい」と話す。晩秋・初冬期収穫のトマトは、府県産も種まきの時期が梅雨や暑さで少なく、付加価値は高いという。同校の重堂法人教諭は「十勝の自然エネルギーを生かし、年間を通じた野菜栽培の可能性を高めることができた」と生徒の努力をたたえている。(原山知寿子)