とうもろこし(サイレージ用)「LG31295」
道総研北見農業試験場 研究部 馬鈴しょ牧草グループ
1.試験のねらい
とうもろこしサイレージは、高栄養自給粗飼料として高く評価されている。輸入穀物価格の上昇が著しい近年の情勢に対応し、飼料自給率の向上を図る必要があることから、その重要性は増している。良質なサイレージ原料を確保するためには、各栽培地帯において安定した生産性を発揮できることが重要であり、品種比較試験を行い、優良品種を選定する。
2.試験の方法
とうもろこし(サイレージ用)「LG31295」は、リマグレインベルノイルホールディング社(フランス)が単交配(デント×フリント)により育成した一代雑種品種である。雪印種苗株式会社が2021年に導入し、品種比較予備検定試験を行った。有望性が認められたことから2022年-2024年に北見農業試験場(訓子府町)および家畜改良センター十勝牧場(音更町)において品種比較試験を行った。また、2023年に鹿追町および遠軽町、2024年に清水町および遠軽町において、同現地試験を行った。さらに、2023年-2024年に北海道農業研究センター(札幌市)において、すす紋病抵抗性に関する特性検定試験を行った。2023年の十勝牧場は、施肥機の異常により試験の斉一性が担保できなかったため成績から除外した。
3.成果の概要(標準品種「KD320」との比較)
1)早晩性:絹糸抽出期は1~2日遅く、収穫時熟度は並からやや遅い(表1)。雌穂乾物率および総体乾物率は農試平均、現地ともに並である(表2)。早晩性は“早生”に属する。北海道統一RMは総体が84、雌穂が83である。
2)耐倒伏性:並である(表1)。
3)発芽・初期生育:発芽期は同日から1日早い。初期生育は並である(表1)。
4)収量性・乾物特性:乾物総重および推定TDN収量は農試平均でともにやや多く、現地でともに多い(表2)。乾雌穂重割合は低く、乾物中推定TDN割合はやや低い(表2)。
5)形態特性:稈長は高く、着雌穂高は同程度からやや高い(表1)。
6)耐病性:特性検定試験におけるすす紋病抵抗性は“強”である(表3)。圃場試験におけるすす紋病罹病程度は同程度で、ごま葉枯病罹病程度は同程度からやや高い(表1)。黒穂病発生個体率は同程度で、赤かび病および根腐病の発生は認められなかった(表1)。
4.留意点
なし。
詳しい内容については下記にお問い合わせください
道総研北見農業試験場 研究部
馬鈴しょ牧草グループ
電話 0157-47-2633 FAX 0157-47-2774
E-mail kitami-agri@hro.or.jp
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