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多収で褐斑病抵抗性が改良されたてんさい新品種「H154」

道総研 北見農業試験場 研究部 麦類畑作グループ
道総研 十勝農業試験場 研究部 豆類畑作グループ
道総研 中央農業試験場 作物開発部 作物グループ
道総研 上川農業試験場 研究部 生産技術グループ
(一社)北海道農産協会

1.背景
 平成22年に北海道優良品種に認定された「パピリカ」が普及して以降、てんさい作付け農家戸数およびてんさい作付面積は減少傾向であったものの、てんさいの総生産量は、ほぼ一定量を維持してきた。その理由の一つとして、てんさい品種の収量性の向上が挙げられる。「パピリカ」はこの収量性の向上を代表する多収品種であり、近年は主力品種として1万へクタールを超えて栽培され、てんさいの安定生産に大きな役割を果たしてきた。さらに「パピリカ」は、それ以前の主力品種にはなかったそう根病抵抗性を持つことから、北海道内で被害が顕在化して行く中で、そう根病対策としても重要な役割を果たしてきた。
 一方で、「パピリカ」は褐斑病に弱く、夏期の高温で発病の進展が早くなって防除開始が遅れたり、多雨の影響で防除機械が圃場に入れずに防除間隔が長くなったりすると、褐斑病の発生が広がりやすく、多発年には大きな被害が発生することが問題となっていた。このことから、「パピリカ」の多収性およびそう根病抵抗性を維持しつつ、褐斑病抵抗性を向上させた品種が必要とされていた。

2.育成経過
 ベルギーのセス・バンデルハーベ社が育成し、平成29年にホクレン農業組合連合会が輸入した。平成30年から道総研(北見農試、十勝農試、中央農試、上川農試)、北海道農産協会(ホクレン、北海道糖業、日本甜菜製糖)で各種試験を実施し、令和4年に北海道の優良品種に認定された。

3.特性の概要
 置換対象品種は、ホクレンの主力品種である「パピリカ」である。以下では、「パピリカ」と比較して特性を説明する。
1)収量性 研究機関で行われた全道平均を表1に示す。「H154」の根重、根中糖分、糖量はほぼ「パピリカ」並である。十勝地域では、「H154」は「パピリカ」よりやや収量性が高かった(表2)。
2)病害抵抗性 褐斑病抵抗性は“中”であり、「パピリカ」の“やや弱”から改良されている(表3)。そう根病抵抗性は「パピリカ」と同様の“強”である。その他の病害抵抗性および抽苔耐性も「パピリカ」と同様である。慣行栽培での褐斑病の発生状況を表4に示す。発生は「パピリカ」より少なく「アマホマレ」並であり、実栽培でも、褐斑病のリスクが「パピリカ」より低いと考えられる。
3)形態 「パピリカ」と比較して、草姿は同様の“やや直立”、葉長は同様の“中”。葉色は、“やや濃緑”に対して“緑”、葉面縮(葉の表面の皺)は、“中”に対して“やや多”、葉身の大きさは、同様の“やや小”。葉柄長は、同様の“やや短”。根形は、同様の“やや短円錐”。根周は同様の“やや大”である。

4.普及態度
 「H154」は、「パピリカ」並の多収で、また褐斑病抵抗性は「パピリカ」の“やや弱”に対して“中”である。このため、褐斑病の発生が「パピリカ」より広がりにくく、天候不良年などの病害多発時の被害が軽減されることが期待できる。また、「パピリカ」同様にそう根病に抵抗性を持ち、その他の耐病性も「パピリカ」並である。
 以上から、「H154」を「パピリカ」に置き換えて普及させることで、てんさいのさらなる安定生産に貢献できる。適地は北海道で、普及見込面積は14,000ha(令和7年度以降)である。
 栽培上の注意は、根腐病抵抗性が“やや弱”であるため、適切な防除に努める。



詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研十勝農業試験場 豆類畑作グループ
電話(0155)62-2431
E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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