陸別百年新聞「低緯度オーロラ 日本初のカラー撮影」
1989年10月21日午後8時45分すぎ、町職員の津田浩之さん(58)らが日本で初めて、赤い低緯度オーロラのカラー撮影に成功した。
オープンしたばかりの私設天体観測所(上陸別)で彗星(すいせい)を見ようと、望遠鏡を構えたときのことだ。「目の前が真っ赤になり、ゆらゆら動いている。途中でオーロラだと気付いた」と振り返る。
「天文に関する道内のネットワークに連絡すると瞬く間に広まった」。NHKがフィルムを取りに来て、翌22日の全国ニュースに流れた。翌日には朝日新聞が1面で報じた。
この出来事は町にとって大きな展開を見せる。全国に「陸別」の名を発信し、オーロラ研究の名古屋大学が注目。国からの「星空の街」選定(87年)も相まって、銀河の森天文台建設へと機運を高めた。
津田さんは、あの時からオーロラへの関心も強まり、新婚旅行ではアラスカまで見に行った。「いつかまた、陸別で鮮明な写真を」-。その時を待っている。