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貿易自由化、農業に試練 農業TOKACHI

チーズは安価な輸入品の増加が予想される(帯広市内のスーパー)

TPP11、日欧EPA発効
 輸入農畜産物の関税を引き下げたり撤廃したりする貿易自由化が目前に迫ってきた。米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)が12月30日に、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が来年2月に相次ぎ発効する見通しだ。輸入品との競争に打ち勝つためには、これまで以上に消費者に選ばれる努力が欠かせない。

 道が2月に試算した道内農畜産物への影響額を見ると、TPP11によって生産額が293億~470億円減少する。日欧EPAの減少額は198億~299億円で、ともに過半を占めるのが牛乳乳製品だ。

 特にチーズは「家飲み」のおつまみなどの需要が伸びている。「チーズ王国」の十勝にとっては商機のはずだが、この需要をオーストラリアや欧州などのチーズと奪い合う構図となる。

TPP11と日欧EPAの道内農畜産物への主な影響

 TPP11ではカマンベールなどの関税は維持するものの、チェダーやクリームチーズの関税を16年目に撤廃する。日欧EPAでは、カマンベールなどソフトチーズに輸入枠を設け、枠内の関税を段階的に撤廃。ハードチーズの関税も16年目にゼロとなる。

 関税引き下げで海外勢が値下げしてくれば、管内のチーズ工房などは価格競争で不利になる。共働学舎新得農場(新得)の宮嶋望代表は「真正面から価格競争するのでなく、日本の文化にマッチした国産ならではのチーズで海外産との違いを出したい」と話す。

 牛肉も影響が大きい。道の試算ではTPP11で減少額が47億~94億円、日欧EPAで32億~65億円となっている。肉牛を生産する大野ファーム(芽室)の大野泰裕代表は「生産者の顔が見える形で販売するなど、消費者の安心感を高めることで輸入品と違いを出したい」とする。

消費者に選ばれる努力を
 貿易自由化はTPP11と日欧EPAにとどまりそうにない。来年1月には、日米物品貿易協定(TAG)の交渉も始まる見通しだ。米国側が強硬姿勢で交渉に臨めば、農業分野でTPP11以上の市場開放を迫られる可能性がある。日本政府が国内農業の重要性を理解し、適切に対応できるか注視する関係者は多い。


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