多言語翻訳 タブレットで 拓殖、十勝バス2社
観光庁の実証実験
北海道拓殖バス(音更、中木雄三郎社長)と十勝バス(帯広、野村文吾社長)はJR帯広駅前の「バスターミナルおびくる」窓口に、31言語を翻訳できるタブレットを導入している。観光庁が翻訳システムの効果を検証するため全国で試験的に導入しているもので、おびくるには2月末まで設置される予定。
観光庁によると国が過去2年間で訪日外国人旅行者に行った調査では、旅先の施設でうまくコミュニケーションが図れず困ったとする意見が多かった。政府は2020年に訪日外国人旅行者を4000万人に増やす目標を掲げており、課題を解決するため観光庁が実証事業を行っている。
使用されるタブレットには多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」が搭載されており、英語や中国語だけでなく、フランス語やイタリア語などヨーロッパの言語にも対応。うち17言語は音声入力ができる。現在、全国の交通ターミナルや宿泊・観光施設など約500カ所が試験的に導入している。
おびくるでは9月上旬から北海道拓殖バス、同下旬から十勝バス窓口にタブレットが1台ずつ設置されており、拓殖バスの窓口ではすでに英語、中国語など数件の利用があった。おびくるには英語対応の人工知能(AI)が乗り場などを案内する窓口があるが、「スタッフがいる窓口を直接訪れる外国人旅行者も多いことから導入した」(十勝バス)という。
北海道拓殖バスの小森明仁業務部長は「タブレットを使った対応にどんな感想が寄せられるかを知りたい」、十勝バスの若森克芳乗合課長は「窓口を訪れる外国人に分かりやすく答えていきたい」と話している。(中島佑斗)