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久山川上流に土石流跡 日高山脈に複数

久山川上流部(写真上中央)から発生した土石流の跡。○は行方不明の長山誠教さんが居住した地域(7日、清水町旭山上空から撮影、北海道大学国土保全学研究室提供)

北大大学院小山内特任教授
 台風10号など相次ぐ大雨災害で、十勝管内の日高山脈の河川上流部で土石流が複数発生していたことが、9日までに分かった。砂防工学が専門の北海道大学大学院農学研究院の小山内信智特任教授(57)らが現地調査などで確認した。家屋が流され行方不明者が出た清水町の久山川上流でも確認され、河川氾濫に影響した可能性も指摘されている。小山内教授は「これまでの降雨で土石流や河川氾濫が起きやすくなっている。今後の雨には早めの避難など一層の注意が必要」と警戒を呼び掛けている。

 小山内教授の研究室でヘリコプターによる状況確認も行い、山脈の十勝側で7、8本の土石流を確認した。

 土石流は、清水町のペケレベツ川や新得町のパンケシントク川の上流部などで発生しており、場所によっては規模が大きくなっている。

 8月中旬以降の連続した雨に、台風10号で平地でも200ミリ以上の降雨が加わったことで、谷にたまっていた土砂が土石流となって移動したとみられる。

山腹崩壊を確認 「数年は警戒を」
 今回の土石流の特徴として、小山内教授は日高山脈の地質を挙げる。山脈の東側は花こう岩が多く、本来は比較的小規模の崩壊しか起こらないが、谷筋に堆積した細かい土砂を巻き込み大きな土石流につながることもある。2014年に発生し74人が亡くなった広島の土石流災害も同様の原理で発生し、家屋が近い場合は被害が大きくなるという。

 久山川の上流では土石流の跡と、きっかけとなったとみられる小規模な山腹崩壊を確認。

 小山内教授は「上流部の土石流が、どこまで流れ下ったかは分からないが、粒の小さい土砂が洪水の流れに乗って下流まで大量に運ばれ、河川の氾濫に影響した可能性はある」と分析する。

 一連の大雨災害で土石流が発生している経過を踏まえ、小山内教授は「上流部から花こう岩が風化した細かい砂が運ばれ、河川が埋まっており、氾濫の危険性が高まっている。数年は少ない雨でも土砂が流れやすい状況にある。出水期には注意が必要」としている。(塩原真)

<土石流> 
 山腹や川底の石や土砂が豪雨などで下流に押し流されるもの。流れる速さは規模によるが時速20~40キロに達する。

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