清水、新得 止まらない 根室線代行バス
住民戸惑いの声
JR根室線の臨時列車と帯広-トマム間の代行バスが運行を開始した8日、JR帯広駅南口では列車を降りて足早にバスに乗り合わせる乗客の姿が見られた。一方、特急運休に伴う代行バスが帯広-トマム間を途中停車せずに直行することに、特急停車駅の清水、新得両町内からは戸惑いの声が出ている。
午前10時20分帯広駅発の代行バスを利用した室蘭工業大1年の清野宏樹さん(20)は「友人と自転車で根室を目指す旅に出掛けていた最中に足止めとなって困っていた。一時はどうなるかと思ったが、駅に来てバスを知った。自宅に帰れそうで、助かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
JR北海道は、1本の列車に対して代行バス10台を用意。午前8時23分釧路発の臨時快速は予定の時刻より約25分遅れでJR帯広駅に到着したが、始発のバスの利用者は清野さんを含む8人だった。同駅は「周知不足もあって現状は利用者が少ないが、少しでも役立ててもらえれば」としている。
JR代行バスが停車しない新得、清水両町は今回の大雨災害で特に被害が大きかった地域で、地元行政関係者や住民たちは復旧に向けた公共交通機関の早期確保を願っている。
JR北海道は帯広-トマム間を高速道路を利用して直通運行する理由について、道路事情の他、確保できたバス台数から、停車駅を増やすと所要時間が延びて運行が困難になると説明。
7日には新得-芽室間の通学代行バスの運行を開始しており、「利用の多い通学生徒の足確保を第一に考えた」とする。
ただ、通学代行バスは基本的に高校生が対象で、新得、清水方面の一般住民の公共交通利用には制限が多い。
清水町は、清水駅や高速道の十勝清水インターチェンジ付近で乗降車できないかを、JRに要請していた。金田正樹副町長は「復旧に向けて住民の足確保は重要。清水に止まらないのは痛い」とし、今後も要請を続ける考えだ。
新得町はJRの対応に一定の評価をする。田中秀嗣副町長は「できる範囲で対応してもらえるのはありがたい。ある程度の不便は仕方なく、一日も早い復興を願うだけ」と語る。
新得町の主婦佐藤令子さん(75)は、帯広への通院に特急を利用していた。13日に公立芽室病院に入院することになったが、「交通手段がないので、町内の妹に頼んで連れて行ってもらう。早く元の生活に戻りたい」と話した。
(小縣大輝、池谷智仁、小寺泰介)