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観光産業に大打撃 風評で長期化の懸念も

キャンプ場などは閉鎖中だが、ふわふわドームは子どもたちに人気(7日、道立十勝エコロジーパーク)

 台風10号の爪痕が、十勝の観光産業に大きな影響を与えている。特にホテル業界では十勝川温泉の5施設だけで約4000件のキャンセルがあったほか、シルバーウイークを控え、イベント中止を余儀なくされたり、運営再開のめどが立たないキャンプ場もある。関係者は風評によるダメージの長期化を懸念、「1日も早く復旧を進めて十勝の元気をアピールしたい」と口をそろえている。

十勝川温泉キャンセル4000件
 十勝川温泉旅館協同組合(音更)では笹井ホテル、観月苑、ホテル大平原、第一ホテル、国際ホテル筒井の宿泊予約のうち、9月だけでキャンセルが約4000件に及んだ。町の試算によると、被害額は約7200万円に及ぶ計算だ。同組合では「JRが不通となった影響が大きく、道外からのキャンセルが半分ほどを占める」としている。

 JRの特急運休に加え、道央とをつなぐ主要国道の通行止めも影響している。十勝サホロリゾート(新得)でも一般客を中心にキャンセルが相次ぎ、現段階で今月分は前年比1000人もの減となっている。「修学旅行客は予定通りだが、減少しているのは本州の個人客」とする。

 十勝バス(帯広)では、道東ツアーや管内小学校の校外学習で使われる予定だった貸し切りバスのキャンセルが約20件出ている。貸切部観光課の吉田昌人課長は「数日間でここまでキャンセルが入るのはおそらく初めて」と驚く。

 市内中心の宿泊施設で構成する帯広ホテル旅館組合の後藤健二組合長は「シルバーウイークの昨年の予約はどの施設も満室状態だった。今年は全体的にキャンセル分を取り戻しきれていない。調査したわけではないが予約の7割程度の感触」と説明する。

 市内の飲食店「大地のあきんど」の高道友則代表は「役場関係などが自粛ムードで宴会の予約がキャンセルに。売り上げは前年比約2割減」と嘆く。

 しかりべつ湖ホテル福原(鹿追)では、然別湖の増水で大浴場への温泉給湯が困難になり、ボイラーの沸かし湯で対応している。担当者は「温泉目当ての個人客はキャンセルもある。紅葉時期は道外からの客が増えるだけに影響が心配」と話す。

 16~20日予定の「とかち天空カフェinめむろ」や、来月2日の「清水食の元気まつり」もすでに開催中止を決めた。

 道立十勝エコロジーパーク(音更)は、オートキャンプ場などが浸水し、泥水が流入した影響で現在閉鎖しており、今月分だけで45件ほどのキャンセルに対応した。「人気のふわふわドームは通常通り開設中で、風評によって全体が落ち込むのが心配。今週末のイベントでは『がんばろう』を枕ことばにつけ、施設の安全を少しでもアピールしたい」とする。

 多くの観光施設は「落ち込みは一時的で数%」(池田ワイン城)、「バスの団体客も現在は通常通り」(音更・スイートピアガーデン)、「客数、売り上げともに前年比で約1割減ほど。特に目立った被害はなかったので通常営業を続けている」(帯広・とかちむら)とする。

 ある関係者は「一番怖いのは風評による十勝全体の観光客離れ。JRや道路、ライフラインの復旧のめどが見えてくれば、十勝が元気な様子をもっとアピールできるのでは」と話していた。

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