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農業被害多岐 把握急ぐ 台風禍相次ぐ

搾乳や集乳も影響
 十勝管内の多くの地域で、畑の浸水・冠水による農作物被害が出ている。多くは調査の段階だが、収穫期を迎えたジャガイモや豆類、また牧草地や飼料用トウモロコシ、そして停電や断水による酪農での搾乳被害など、影響は多岐に及んでいる。関係者は「(個別JAで)対応できるレベルではない。国にどう要請していくか検討したい」(宇野克彦JAめむろ代表理事専務)としている。

 ジャガイモは収穫期を迎えていて、水に長期間漬かると腐って出荷できなくなる。河川の氾濫などで水が流れ込んだ畑は、イモが露出して青くなり品質低下が起こっている。豆類は地中の水分が抜けないと根が傷み、生育の遅れや病害にかかりやすくなる。

 JA幕別町は、猿別川、旧途別川からの浸水で猿別、相川で300ヘクタール近い農地が浸水。作物はキャベツ、白菜など葉物野菜や、タマネギ、ナガイモ、ゴボウなど。デントコーンが折れ、すでに70ヘクタール以上が早期刈り取りが必要になっており、「今後さらに増えるだろう」とみている。

 JA十勝池田町は、見た目にはっきり分かるだけで287ヘクタールの畑に、水や土砂がかぶっている。JA新得町は、畑の冠水は約100ヘクタールとみる。作物はジャガイモ、小豆、大豆、ビート、特産のソバなど。JA豊頃町は、畑の冠水や飼料用トウモロコシ倒伏などで151ヘクタールに被害が出ている。

 JAおとふけは、1127ヘクタールで滞水しており、豆、ビート、野菜などに影響が出ている。とくにトウモロコシ類は325ヘクタールで倒伏している。JA上士幌町では、畑作で46・49ヘクタール。このうちジャガイモが22ヘクタール、豆15ヘクタール、ビート5ヘクタールなど。酪農は11・4ヘクタールで、牧草畑で冠水し、表土流出の被害も報告されている。

 酪農では、生乳を集荷するミルクローリー車が、相次ぐ道路の通行止めで移動に時間がかかっている。断水の続く地域では、搾乳時に設備を洗う水に苦労している。JA新得町では、酪農家6軒が断水で、牛の飲み水と洗浄水を合わせて1日80トンの確保に苦慮。町を通じ隣の鹿追町に支援を求め、運んでいるほか、ミルクローリー車で生乳を運んで空になった後に、水を入れて戻っている状態だ。

 JAめむろでも酪農家の一部で断水が続き、牛への水やりもポンプ対応。JA十勝清水町では、詳細はまとめ切れていないものの「停電や断水で搾乳被害が出ている」とする。

 このほか、調査中のところも多く、JAめむろは1日午後から53班150人以上の体制で現地調査に当たっている。JAうらほろも面積は全く出せない状況だが、「牛舎や倉庫の屋根が飛ばされたものが複数ある」。池北3町の各JAなどのように、台風7号と9号、11号との被害区別が難しいという悩みもあり、全容が明らかになるにはもう少し時間がかかりそうだ。

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