オーチャードグラス、ペレニアルライグラスで リードカナリーグラスに勝つ!
道総研 上川農業試験場 天北支場 地域技術グループ
1.試験のねらい
リードカナリーグラス(以下、RCG)等の雑草に侵入抑制に期待されるオーチャードグラス(以下、OG)、ペレニアルライグラス(以下、PR)の導入が試行されているが、その効果などの知見が不十分なため、天北地域の更新後の雑草侵入実態とともに、OG、PR 導入によるRCG 等の雑草侵入抑制効果、乾物収量、飼料成分への影響等について明らかにする。
2.試験の方法
1 )天北地域における更新後の雑草侵入実態を明らかにする。チモシー(以下、TY)主体およびOG + PR主体で播種した草地における冠部被度の推移を調査。
2 )OG、PR、OP(播種種子重量比でOG:PR =1:1、以下同)導入によるRCG 等侵入抑制効果、乾物収量、飼料成分を評価する。OG、PR、OP、TY を① RCG と混播条件、② RCG 主体草地(除草剤の有無処理)に導入し、草種構成割合等を調査。
3 )OG、PR 混播割合と播種後の草種構成、乾物収量、飼料成分との関係を明らかにする。OG、PR 混播割合を変えた処理(OG 割合で100%、75%、50%、25%、0%)において調査。
4 )OG、PR、OP 導入草地における施肥、刈り取り回数が草種構成等へ及ぼす影響を明らかにする。OG 草地および2)試験①、②の条件において、異なる施肥・刈り取り回数を処理し、調査。
3.成果の概要
1 )TY 主体播種草地では、早期のRCG 侵入およびその他イネ科草の緩やかな侵入によりTY 冠部被度を大きく低下させる。OG+PR 主体播種草地における更新4~6年目のRCG 割合は16%にとどまり、OG とPRが優占草種として維持される(図1)。
2 )RCG 混播条件において、OG、PR 単播およびOP で導入した草地の播種3年目の播種草種割合は、TY 単播で40%台まで低下したのに対し、概ね80%が確保され、RCG の侵入を抑制する。RCG 主体草地へのOG、PR 導入は、除草剤処理に係わらず、TY 導入よりRCG 侵入を抑制し、とりわけOP で播種草種割合が高い傾向がある。播種草種の年間乾物収量はOG、PR 単播よりOP で多い傾向があり、WSC、推定TDN含量からみた飼料成分はPR 単播が最も優り、OP が次ぐ(表1)。
3 )OG 混播割合に対しOG の草種構成割合は、播種2年目で概ね同等、3年目はOG 混播割合が50%以下の区で高まる。混播割合に係わらず乾物収量は同程度でOG、PR 単播より多く、WSC、推定TDN 含量からみた飼料成分はPR 単播が最も優り、次にOG 混播割合が低いほど良好となる(表2)。
4 )OG、PR 単播および両草種混播での導入草地において、施肥・刈り取りを年間2回で管理した場合の播種草種割合は年間3回と同程度で、播種草種の維持は可能であるが、年間の乾物収量および推定TDN 収量は、年間3回の概ね70~80%である(表2)
5 )以上のことから、OG、PR 導入によるRCG 等の侵入抑制効果はTY より高く、とりわけ両草種の混播は抑制効果が高く、乾物収量・飼料成分等の総合評価でも優る。RCG 草地の植生改善には、これらの草種を用い、前植生処理した完全更新、または前植生処理、播種床処理した簡易更新が望ましい(表3)。
4.留意点
1)PR の栽培適地でRCG 主体草地の植生改善に活用する。
2)本成績は台地土で実施した結果である。
詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研上川農業試験場天北支場 地域技術グループ 有田 敬俊
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