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黒毛和種および交雑種去勢牛の育成・肥育一貫飼養における 牧草・とうもろこしサイレージ給与技術

道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ

1.試験のねらい
 肉用牛における育成期の牧草サイレージ(GS)給与および肥育期のとうもろこしサイレージ(CS)給与が発育、ビタミンA代謝および産肉成績に及ぼす影響を明らかにし、サイレージを利用した育成・肥育一貫飼養技術を確立する。

2.試験の方法
1 )黒毛和種去勢牛における育成期のGS 給与および肥育期のCS 給与(試験区)が飼料摂取量や発育、産肉成績に及ぼす影響を慣行の育成・肥育(対照区)と比較し明らかにする。
2 )交雑種去勢牛の大規模群管理飼養において、GS・CS 主体TMR 給与(試験区)が飼料摂取量や発育、産肉成績に及ぼす影響を慣行の育成・肥育(対照区)と比較し明らかにする。
3 )生産現場におけるサイレージ導入目的およびサイレージ導入による飼料自給率向上および飼料費削減効果を明らかにする。
4)牧草サイレージ・とうもろこしサイレージを給与する際のマニュアルを作成する。

3.成果の概要
1 )GS・CS 給与による乾物摂取量の低下はみられず、慣行飼養に対して濃厚飼料を1.4t削減可能であった。育成・肥育期間中のTDN 摂取量は慣行飼養と同等であり、発育・増体も良好に推移し、慣行飼養と同等の産肉成績が得られた(表1)。また、GS・CS 給与による濃厚飼料削減は第一胃内発酵の安定化、肝機能の負荷低減に寄与することを示した。血中βカロテン濃度は育成期終了時に430μg/dl まで上昇したが、肥育期に速やかに低下し、肥育開始1ヵ月後にはGS 給与の影響がなくなった。血中ビタミンA濃度は18ヵ月齢で60IU/dl まで低下し、その後60IU/dl 前後で推移した。筋間脂肪色の黄色度を示すb* 値は全頭10以下であり、BFSNo. は3および4と判定された。
2 )CS 主体TMR 給与では、肥育前期の粗飼料割合を26% から64%、肥育後期では15%から40%まで高めることが可能であった。血中βカロテン濃度は育成期終了時の8ヵ月齢で507μg/dl まで上昇したが、肥育開始後に急激に減少し、GS 給与の影響はみられなかった。血中ビタミンA濃度は19ヵ月齢で60IU/dl まで低下し、慣行飼養と同等の推移を示した。発育・増体も良好に推移し、慣行飼養と同等の産肉成績が得られた(表2)。
3 )サイレージ導入農家では、飼料費低減と食滞防止を目的としていた。試験1・2の成績からの試算では、GS・CS 導入により30ポイントのTDN 自給率向上と1頭当たり8万円の飼料費の削減が見込まれた(表1、表2)。
4 )試験1の成績から黒毛和種去勢牛の育成・肥育一貫飼養におけるGS・CS 分離給与基準(図1)、試験2の成績から交雑種去勢牛の育成・肥育一貫飼養におけるGS・CS 主体TMR の設計指針(図2)を作成した。また、両試験とも肥育期に給与するCS は黄熟期に収穫したものを用いたことによりビタミンAコントロールおよび脂肪色に問題がみられなかったと考えられた。血液代謝プロファイルテストにおける肥育期の血中βカロテン濃度、ビタミンA濃度および総コレステロール濃度の目安を示した。

4.留意点
1)育成・肥育一貫飼養農場で牧草・とうもろこしサイレージを用いる場合に活用する。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ 糟谷 広高
電話(0156)64-0610  FAX(0156)64-6151
E-mail:kasuya-hirotaka@hro.or.jp

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