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鳥インフル殺処分、徹夜の作業 にじむ疲労

作業を終え、対策拠点の清水町体育館に戻る自衛隊員(18日)

800人態勢 「先見えぬ」
 【清水】採卵鶏から高病原性鳥インフルエンザが検出された清水町の養鶏場では、殺処分作業が3日目を迎えた19日未明も、初めて夜を徹した作業が行われた。氷点下の厳しい寒さなどで作業は難航したため道は人員も増やして態勢を強化。作業員は疲れの色を見せながらも、懸命な作業で19日中の殺処分と埋却作業の完了を目指している。

 国の指針ではウイルスの感染を確認後、24時間以内に鶏舎の全ての鶏を殺処分しなければならないが、寒さへの対応の他、道内の養鶏場で初の感染という事態に資材調達が遅れるなどし、殺処分は24時間を超過して続けられている。

 18日は前日より300人増員した810人態勢で殺処分を開始。日中は気温も上がり、作業も2日目とあってスピードも速まった。殺処分は大きなポリバケツに鶏を入れ、炭酸ガスを注入する。自衛隊員の一人は「日中は暖かく、動いているので寒さは気にならなかった。鶏に触れるのも初めてだったが、徐々に作業も慣れてきた」と話す。

 一方で、鶏舎内の作業環境に精神的なストレスを感じる人もおり、十勝管内の作業員の一人は「鶏舎内は特有の臭いがある。作業中はマスクをしているので気にならないが、終えた後に顔にずっと臭いが残っている感じがする」と打ち明ける。

 作業員は基本的に2時間作業を行った後に、町体育館に戻って4時間休憩するシフトで作業。体育館では疲れた表情で時間を過ごす姿が見られた。ある作業員は現場には殺処分の進捗(しんちょく)状況などが伝えられていないとし、「先が見えないまま作業するのは不安」と戸惑っていた。

 宮崎県で過去に発生した口蹄(こうてい)疫で牛や豚の殺処分を経験したという十勝管内の畜産関係者は「気候がまるっきり違う」と今回の作業環境の厳しさを指摘し、大量の家畜を処分する事態について「鶏をモノだと思って、作業を淡々と続けていくだけ」と話した。

 十勝総合振興局は町体育館に医師と保健師を配置し、殺処分などの作業前後に従事者の健康チェックを実施。血圧が高い人は作業に当たらせないなど対応しているが、厳しい業務内容に体調不良を訴える人も出ている。同局は「作業する人の健康管理をしながら取り組んでいる」とする。
(高津祐也、安田義教)

鳥インフルエンザへの対応
■16日

午前10時  清水町内の養鶏場で死亡鶏約30羽を確認したと十勝家畜保健衛生所に通報。
午後2時半  道がA型鳥インフルエンザ陽性の確認を報道発表。
同10時半  国が高病原性鳥インフルエンザ疑似患畜と判定。
同11時   道と十勝総合振興局が対策本部を設置。

■17日
正 午    自衛隊や道職員らが発生養鶏場で予定より2時間遅れで殺処分作業を開始。
午後1時   清水と新得の主要道路10カ所に予定より3時間遅れで消毒液ポイントを設置。
同10時半  ウイルス検出から24時間経過。殺処分数は午後7時半までに3万2310羽と発表。

■18日
午前8時20分 300人増員した810人態勢で殺処分開始。
午後3時   埋却場所を町羽帯の町清掃センター敷地内に決定し、掘削作業を開始。
同11時   道が午後10時までの殺処分数を15万1000羽と発表。

■19日
午前0時以降 徹夜で作業続く。
午前10時40分 予定より3時間以上遅れて埋却作業開始。

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