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来春「再復活」 休業続く鹿追・かんの温泉

かんの温泉の再開を目指す勝海社長と、番犬候補のレイン坊(塩原真撮影)

台風3カ月 番犬もデビュー待つ
 【鹿追】十勝に甚大な被害をもたらした台風10号の大雨災害から、30日で3カ月が経過する。各地で復旧が進む中、鹿追町然別の秘湯「かんの温泉」は道路が通行できず、休業が続いている。全国からの激励や新たな仲間の存在を力に、運営する鹿追ホットスプリングス(鹿追)の勝海敏正社長(61)は「個性的な温泉宿を改めて追求し、来年4月の営業再開を目指したい」と語る。

 台風10号が猛威をふるった8月30日は休業日で、宿泊客はいなかった。だが、従業員3人は孤立し、3日後の9月2日にヘリコプターで救助された。

 山林に囲まれた施設は大雨で土砂が流れ込み、壁の一部が壊れ、浴槽2カ所が被害に遭った。鹿追市街地からつながる道道1088号は数カ所で崩れ、同温泉の約9キロ手前で通行止めに。9、10月に予約があった約300件の宿泊はキャンセルを余儀なくされた。

 自動車は途中までしか入れず、勝海社長らは自転車や徒歩で定期的に同温泉を訪れ、被害状況を確認している。電源設備などに被害はなく、50~60トンと想定する流入土砂を取り除けば、営業再開できると見通しが立った。通行止め解除後に重機を持ち込み、作業を行う予定。帯広建設管理部は、道道に仮道を通す工事を進めており、来年2月の解除を目指している。

川の増水で崩壊したかんの温泉周辺の道路(9月16日撮影、鹿追ホットスプリングス提供)

 同温泉は秘境として人気を集めていたが、前経営者時代の2008年に閉鎖。その後同社が購入し、14年8月にリニューアルオープンした。

 「個性的でひなびた温泉が目指していた姿。そのためには何が必要か、立ち止まって考える良い機会になった」。勝海社長は苦しい状況も前向きに捉える。リニューアル以降は想定以上の客が訪れ、観光地化の方向に流れていたと反省。手作りや素朴さを追求するため、食事内容などの見直しを始めている。

 全国のファンからメールや見舞金が届き、再開に向けた励みになっている。さらに心強い仲間も加わった。それは被災した8月30日の日中、番犬にするため保健所から引き取った生後2カ月ほどの雄の子犬だ。

 従業員3人と共にヘリで救助されたこの犬は、「レイン坊」と名付けられた。雨(レイン)を連想させつつも、虹(レインボー)という希望の名を与えられた。

 かんの温泉に戻る日を待ちながら、帯広ですくすくと育っている。勝海社長は「数奇な運命をたどっているが、番犬として早く活躍できるよう準備を進めたい」と笑顔を見せる。(池谷智仁)


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