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ばれいしょの特別栽培を可能にする疫病防除法

十勝農試 研究部 生産環境グループ
中央農試 病虫部 クリーン農業グループ

1.背景と目的
 ばれいしょは北海道が全国の生産量の8割を占める重要な農産物で、大きな減収要因である疫病の防除は不可欠である。一方、安全安心を求める消費者ニーズに対応し、化学肥料、化学合成農薬を5割以上削減した「特別栽培農産物」に適合し、収量・品質を落とさない農業技術の開発が求められる。アブラムシおよび軟腐病に対する減農薬防除法が確立したが、疫病防除に関しては定まらず、継続して検討することとなった。検討するにあたって生食用の早生~中生品種を試験対象とし、化学合成農薬を慣行レベルに対し5割以上削減した減農薬防除技術の開発を目的とした。実施にあたっては道が「クリーン農業技術体系(平成18年版)」で規定した慣行値に基づき、以下の表のように対象病害虫ごとに使用成分回数を割り振り、疫病の使用成分回数は4回以内とした。


2.試験方法
1)ダブルインターバル散布(14日間隔散布)による防除薬剤の評価
現在のばれいしょ疫病のダブルインターバル散布で指導参考事項となっている単一成分の薬剤(フルアジナム水和剤、シアゾファミド水和剤F、アミスルブロム水和剤F、マンジプロパミド水和剤F)の防除効果を再評価し、またダブルインターバル散布と慣行散布の防除効果を比較する。
・試験項目等:供試品種「さやか」(中生、疫病抵抗性弱) 疫病発病度、塊茎腐敗発病いも率、収量、ライマン価
2)散布開始時期の検討
初発前・初発後にダブルインターバル散布を開始し、防除効果を評価する。

3.成果の概要
1)供試した指導参考薬剤4薬剤においては、防除効果の差はなかった。
2)ダブルインターバル散布を行うことで化学農薬の散布回数を慣行より5割削減した4回以内での疫病防除が可能であった。ダブルインターバル散布の防除効果は慣行と同等で、収量も慣行と同等であった(表1)。
3)初発前・初発後にダブルインターバル散布を開始したところ、初発前から散布開始した区では高い防除効果を示したが、初発後に開始した区では慣行に比べて劣る防除効果となった(図1)。ダブルインターバル散布を実施するにあたっては初発前からの散布開始が重要と考えられた。
4)特別栽培では早生~中生品種を用い、8月下旬に茎葉処理が予定されていることから、8月中旬以降の疫病防除は概ね必要がないと考えられる。従ってダブルインターバル散布が6月中に始まった場合でも4回散布で防除でき、特別栽培は可能と考えられた。
5)前課題で得られた防除法と併せ、化学農薬を5割削減した特別栽培のための殺菌剤処理法は表2に示した。本表に従って病害防除を行った場合、殺菌剤の使用成分回数は6回である。

4.成果の活用面と留意点
1)ばれいしょの特別栽培の栽培技術として活用する。
2)ダブルインターバル散布は疫病の初発前から開始する。




詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。

道総研十勝農業試験場 生産環境グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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