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北海道黒毛和種基幹種雄牛「勝早桜5」

道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ

1.はじめに
北海道の黒毛和種繁殖雌牛群を産肉能力が優れるだけではなく、発育能力や体格・体型の優れた牛群へ改良するためには育種価情報等に基づく交配、保留および淘汰の推進が基本であるとともに、これらの改良が期待できる基幹種雄牛の利用が必須である。加えて、9万5千頭の繁殖雌牛改良のためには産地形成の核となり子牛や枝肉市場の評価向上が期待でき、かつ精液の入手が容易な北海道産の基幹種雄牛の作出が重要である。そこで、産肉能力が優れるだけではなく、発育能力や体格・体型の改良を可能とする基幹種雄牛の造成を行った。

2.「勝早桜5」の作出経過
北海道が実施する「北海道優良基幹種雄牛育成事業」の種雄候補牛として、平成18年に受精卵移植を用いて生産した(図1)。気高系の「勝忠平」を父牛とし、田尻系(安平産子)の「なつ」を母牛として作出されており、気高系62.5%、田尻系37.5%で2系統の血液割合が高い種雄牛である。

3.「勝早桜5」の特徴
1)「勝早桜5」の検査可能な遺伝病8形質(IARS他)の検査結果は全て正常であった。
2)発育能力調査(直接検定)の日増体量は1.29kg/日で、全国平均の1.16kg/日より大幅に高かった。登録審査得点も83.3で、種雄牛が有すべき82.6を超え、発育能力および体格・体型に優れる種雄牛と考えられた。
3)産子の肉質4等級以上を示す上物率は78%と高く、脂肪交雑6.9、枝肉重量468㎏、ロース芯面積61cm2、バラ厚8.1cmと優れ、肉質と肉量を兼備した枝肉生産が可能と評価された(表1、
写真1)。推定育種価の種雄牛2,579頭中順位は、脂肪交雑4位を筆頭に皮下脂肪厚を除く5形質で極めて優れた価を示し、高い遺伝的能力が確認された(表2)。
4)「勝早桜5」が皮下脂肪厚を除く5つの産肉形質で高い遺伝的能力を持ち、産子の発育および体格が良いことから、道内牛群の産肉能力および体格の改良に広く活用できる。
5)去勢産子の育成期体重は、黒毛和種標準発育曲線の平均値を上回って推移した。日齢体重(9か月齢時)も1.14㎏/日と大きく、高い発育能力を示した。
6)雌産子の体高(30か月齢)は平均131.6cmで発育標準値の128.4cmより0.5標準偏差単位大きく、登録審査得点は81.4(±0.86)で北海道平均の80.3を大きく上回っており(図2)、後代の体格・体型の改良が期待された。

4. 留意点
1)産子は良好な発育が期待されるが、生時体重が大きいため未経産等体格の小さい雌牛への交配時には分娩事故に注意する。







詳しい内容については下記にお問い合わせください

道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ 酒井稔史
電話 0156-64-0609 FAX 0156-64-3212
E-mail sakai-tosihumi@hro.or.jp

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