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土器の煮炊き跡、世界最古 帯広の「大正3」遺跡

帯広市の大正遺跡群「大正3」遺跡で発掘された約1万4000年前の縄文土器(復元、帯広百年記念館提供)

 帯広市の大正遺跡群「大正3」遺跡で発掘された約1万4000年前の縄文土器片から、海産物を煮炊きした焦げかすが見つかったと、日欧研究チームが10日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。土器を煮炊きに使った証拠としては世界最古で、海産物は川をさかのぼったサケ・マス類の可能性があるという。

日欧研究チーム発表
 この研究はオランダ・フローニンゲン大のピーター・ジョーダン博士らが、土器は狩猟採集時代にアジアから欧州に伝わったとみて行っている調査の一環。中国江西省の洞窟遺跡では、世界最古の2万~1万9000年前の土器片が見つかっている。

 メンバーのうち新潟県立歴史博物館の西田泰民専門研究員は「縄文土器はドングリの煮炊きに使われたイメージが強いが、海産物も多く料理していたらしいことは意外だった」と話した。総合地球環境学研究所(京都市)の内山純蔵客員准教授は「当時の土器は日用品ではなく、儀礼的な行事に使われた可能性がある」と指摘する。

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 チームは大正3遺跡のほか、久保寺南(新潟県十日町市)や星光山荘B(長野県信濃町)、鳥浜貝塚(福井県若狭町)、三角山1(鹿児島県中種子町)など13遺跡の縄文土器片約100個について、煮炊きで焦げたとみられるかすを分析した。

 炭素や窒素の同位体を調べた結果、大正3のかすからは海産物の脂肪酸が見つかった。また、メンバーで若狭歴史民俗資料館の鯵本真友美主任によると、鳥浜の1万2500~1万1500年前のかすからは川や湖、海の生物のほか、シカのような草食動物の脂肪酸が見つかった。

 大正遺跡群は内陸部の十勝川支流沿いにあり、道路の建設に伴って2002~04年に発掘調査が行われた。約1万4000年前の縄文土器は北海道最古。丸底で中央に突起が付き、表面には親指などの爪で付けたとみられる模様がある。

食知る重要発見
 大正遺跡群の発掘調査に関わった北沢実・帯広百年記念館館長の話 遺跡が十勝川の支流、途別川沿いにあるため、当時の人々が川をさかのぼったサケ・マス類を食べたかもしれないと漠然と考えていたが、その可能性が実際に示されたのは大きな成果。約1万4000年前は温暖化した時代で、人々が本州から津軽海峡を渡ってきたのではないか。当時の暮らしぶりはよく分かっておらず、食生活を知る重要な知見が得られた。(時事)

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