故郷帯広で念願の店をオープン 東京で腕を磨いたパティシエがスイーツ“激戦区”に挑む
18歳で上京し、東京のホテルやレストランで長年腕を磨いてきたパティシエの目黒祐輔さん(44)が、故郷の帯広にUターンし、8日にケーキショップ「アントワネット」(西5南22)をオープンする。「自分自身の味がどのくらい買ってもらえるのか、不安と楽しみが入り交じっている」と心境を語る。(児玉未知佳)
目黒さんは帯広市生まれ、帯広若葉小、帯広第八中、芽室高卒。自衛官だった父に「どうせなら東京でしっかり学んでこい」と背中を押され、東京の製菓専門学校に進学した。
以来、菓子作りに熱中する日々を送り、ウエディングケーキなど多種多様なドルチェを取り扱う「ホテル西洋銀座」やチョコレート専門店「ブルガリ イル・チョコラート」、スペイン料理レストラン「小笠原伯爵邸」などでパティシエとして幅広く経験を積んできた。
「六花亭や柳月、クランベリーなど有名な菓子大手がそろう十勝は、業界的にも特殊な場所」(目黒さん)。20代の頃は、そんな“激戦区”の十勝で自分の店を持とうとは考えたこともなかったが、長年の積み重ねが次第に自信になっていき、「独立がいつの間にか夢になっていた」という。
40代に入り、一念発起して開業準備に着手。機材や建物を含め、オープンには約700万円費やした。店では、20歳から指導を受けてきた師匠に学んだ製法を踏襲しつつ、ビターチョコレートとラズベリーで自分なりの味に仕上げたチョコレートケーキや、バスクチーズケーキなどを販売する。原料には道産食材を使用し、客の反応を見ながら商品ラインアップを増やしていきたい考え。
「小規模でも地元で地盤を固め、コロナ禍で元気がなくなった飲食業を少しでも盛り上げていければ」と意気込む。
営業時間は午前11時~午後6時。火、水曜日定休。