川西長いもが宇宙食認証、フリーズドライとろろなど5品目
JA帯広かわにし(有塚利宣組合長)は21日、同JAなど管内10JAが生産するナガイモ「十勝川西長いも」を主原料とした5品目が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「宇宙日本食」の認証を受けたと発表した。同JA産食材は、小豆が2018年に尾西食品(東京)が製造する赤飯に使われ、宇宙食の原料に。今回はゼロから商品を独自開発し、5年7カ月の開発期間を経て、“宇宙ブランド”の称号を得た。(松村智裕)
同長いもは、選果場が衛生管理の国際規格HACCP、品質の国際認証規格SQFをそれぞれ取得。有塚組合長は「究極の食の安心・安全を追求した結果、宇宙食を目指す挑戦に行き着いた」とし、「宇宙食は宇宙飛行士の健康管理や精神管理の役割を果たす。食産業の宇宙産業への貢献だと思っている」と話した。
宇宙食開発は、これまでも宇宙食を手掛けている「極食」(札幌市、阿部幹雄代表)が同JAから委託を受け、18年春から本格的に進めた。いずれもフリーズドライで、「とろろ」「トマト煮込み」「グラタン」「十勝オムレツ」「肉巻焼き」の5品目。同JA産の牛肉や金時、十勝産の牛乳やバター、砂糖なども使用している。ナガイモは180度のパーム油で2秒間加熱し、土壌由来の細菌を殺菌するなど工夫を施した。
とろろは粉末に水を加え、宇宙では8分ほどもむと粘り気が出て、とろろ本来の食感を味わえる。他の4品は湯を注いで2分ほどで食べられる。阿部代表は「フリーズドライの食材を水で復元する宇宙食は初めて」としている。認証は極食が11月14日付で取得した。
来年度以降、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する日本人宇宙飛行士に提供される。また、同長いもを原料としたミルクセーキを来年2月の宇宙食認証獲得に向け、開発を進めているとした。
5品目は商品化も検討する。有塚組合長は「非常食や保存食として社会貢献にも取り組みたい」と意欲を語った。
JAXAによると、今回の5品目を含めて宇宙日本食に認定されているのは33社・団体による計58品目。十勝の企業では、十勝スロウフード(清水町)の「コスモバーグ」が認証を受けている。