ザ・本屋さんが就職支援 企業説明会を新事業に
ザ・本屋さん(帯広市、高橋智信社長)は28日、企業と学校をつなげる「とかち企業業種説明会」を市内のとかちプラザで初開催した。地場企業が独自で学校や企業を広く集めて説明会を行うケースは十勝では珍しいとする。本業の書籍販売を巡る市場が厳しい中、同社では新たな事業の柱にしたい考えだ。
同社は1972年、有限会社高橋書店として創業、85年に現社名となった。現在は十勝と室蘭に計5店舗を持つ。
高橋社長によると、コロナ禍による生活様式の変容で、書店で本を購入する割合が減少。同社でも売り上げ減が顕著になる前の2021年度と比べ、現状は3割減の状況。今年にかけ、店舗を減らし、配送事業を縮小するなど事業再編を進めてきた。
新規事業は、高橋社長が取引のある高校の現場から「合同での進学説明の場はあるが、就職につながる企業説明の場が少ない」との話を聞いたのがきっかけ。十勝教育局などにも相談し、人材確保で悩む企業側の業務内容を知る機会となる説明会を企画した。
この日は就職希望者が一定数いて関心の高かった芽室高と幕別清陵高、清水高の2年生約200人が午前と午後に分かれ来場。企業側は帯広信用金庫や満寿屋商店のほか、旅館やIT、レストラン、建設など幅広い業種から管内18社が参加した。
芽室高で進路指導を担当する坂口英樹教諭は「学校で企画実施した場合、調整などに膨大な手間がかかる」と説明。十勝教育局は「企業と学校それぞれのニーズを踏まえた今回のような試みを一企業が実施するのは、十勝では極めて珍しい」(教育支援課)と評価した。
同社では今後も継続予定。企業からの参加費などで収益を確保していく。高橋社長は「本業のネットワークを生かし、地域の課題解決にもなる」と話した。(佐藤いづみ)