札内川ダムでコーヒー豆の熟成実験 帯広河川事務所
帯広開発建設部帯広河川事務所は今年度、同所が管理する札内川ダム(中札内村南札内)でコーヒー豆の熟成を行う。事業はダムを活用した地域振興の一環で、同様の事例は道東のダムでは初めて。
帯広河川事務所によると、コーヒー豆を熟成するのは、ダムの内部を点検するための「監査廊」と呼ばれる通路。1年間を通じて温度が10度以下で安定し、日の光が入らないことから、飲料品などの貯蔵や熟成に適しているという。道開発局の先行事例では、日本酒やワイン、酒類や日本茶葉を貯蔵した例がある。
第1弾となる今年度は、事務所ホームページに応募があった中札内村と音更町のコーヒー店4店が参加。12日は札内川ダムに店舗関係者らが訪れ、焙煎(ばいせん)豆や焙煎前の生豆計約70キロを通路に搬入した。
コーヒー豆は熟成させることで、炭酸ガスや水分が抜け、酸味がまろやかになるという。来年3月31日まで貯蔵し、蔵出し後は「かわたびコーヒー」として商品化する。今年5月2日は同所で「短期熟成」させた豆を蔵出しして振る舞うイベントも開催予定。
27日にオープンを予定するハレノヒ珈琲店(中札内村東2北7)の藤村香織代表は焙煎後の豆を搬入し、短期熟成させる。「焙煎後の豆を熟成させると味が深くなり、風味も豊かになる。一つの目玉商品としたい」と述べた。同事務所の須賀可人所長は「ダムで熟成させたというストーリーで、地域性の高い商品開発をしたい。地域を元気づける活動になればうれしい」と話した。(松崎篤嗣)