鉄筋工の全国大会で準優勝 丹羽鉄筋興業の松本さん 十勝初の栄誉
全国鉄筋技能大会「TETSU-1(テツワン)グランプリ」(全国鉄筋工事業協会主催)が24日、静岡県で開かれ、道代表として出場した丹羽鉄筋興業(帯広市)の松本兼一さん(37)が準優勝に輝いた。道内勢が3位以内に入賞したのは初。松本さんは「出るからには絶対一番という気持ちで臨んでいたので悔しい。次回も出場の機会があれば(優勝を目指して)リベンジしたい」と語っている。
同グランプリは隔年で開催しており、3回目。参加者は設計図を手渡され、鉄筋の組み立ての早さと正確さを競う。
道予選は6月に帯広で開催。松本さんは1位通過で全国大会への出場切符を得た。
道予選で獲得した賞金で妻や子どもたちとすし店に行ったといい、「子どもに自分の仕事を見てもらう機会もなかったので自分自身もうれしくて、その日のすしは人生で一番うまかった」と話す。
松本さんは同社建築課長として、若手を指導する立場でもある。全国大会に向けて、業務の合間を縫って大会本番と同じ課題に何度も取り組んだ。職場からの応援もあり、大会前の2週間は大会用の練習に時間を費やした。
大会には、全国各地の予選を勝ち抜いた34人が出場。80分で鉄筋の組み立てを行い、制限時間よりも早く終わった場合は加点される。松本さんは制限時間を大幅に切る56分で完成。競技中は、他の選手を圧倒するスピードだったこともあり、大勢のギャラリーに囲まれた。
「緊張はしなかった。『よく見とけ、これが北海道の厳しい環境で培った本当の早さだ』という気持ちで挑めた」と振り返る。
結果は僅差で2位。いつもよりも入念に完成品の確認作業に費やしたことがトップとの差を分けた。松本さんは「十勝の鉄筋工のレベルが日本トップクラスということを結果で示したかっただけに残念。ただ、頑張って仕事をすれば、こうした大会に出られるという魅力を若い子に見せられた」と語る。
松本さんに同行し、競技の行方を見守った丹羽鉄筋興業の柏木敏光社長は「本州のように、鉄筋工同士の情報が出回っていない北海道から出場するのは相当のプレッシャーだったはず。本当によく頑張ったと思う」と快挙をたたえた。
道鉄筋業協同組合十勝支部の山田賢悟支部長は「道内の厳しい環境の中で取り組む鉄筋工たちに、勇気を与える結果」と喜びを語っている。(本田龍之介)