昔ながらの豆のニオ積み 音更
【音更】日本一の豆の産地・十勝で大豆の収穫作業が最盛期を迎えている。刈り取り、脱穀を同時に行うコンバインによる収穫が主流だが、畑に積み上げて自然乾燥させる昔ながらの「ニオ積み」の光景も一部に残っている。
JAおとふけ(笠井安弘組合長)では、音更町内の農家7軒が研究会をつくり、ニオ積みで生産している。特産の「音更大袖振大豆」は、青色大豆ならではの色味が特徴。畑で自然乾燥させることで色味がきれいに残り、風味など品質が均一化される。関東の有名豆腐店などからは、ニオ積み大豆の指定注文があり、今年も約10ヘクタールで栽培した。
同町東音更の藤川征二さん(50)は、大豆を6ヘクタール育てる中、2・5ヘクタール分をニオ積みで出荷。機械で刈り取った豆を、正方形の板の上に丁寧に積み上げ、雨よけにブルーシートの“帽子”を掛けた。
農業現場は機械化と人手不足で、十勝でもニオ積みはごくわずか。小麦の大型コンバインで大豆を刈る畑もある中、藤川さんは家族を中心に7、8人で作業する。「『よくやるね』と声を掛けられることがあるけど、(ニオ積み大豆を)欲しい業者がいるので、こだわりでやっている」と藤川さん。畑で10日ほど乾燥させて出荷する。(安田義教)