帯広発ワイン来年実現 あいざわ農園醸造免許取得
帯広市以平町で醸造用ブドウを栽培するあいざわ農園合同会社(相澤一郎代表)は24日、帯広税務署からワインの製造免許を交付された。醸造や瓶詰め設備を備えたワイナリーも完成。10月上旬からブドウの収穫、仕込みを始め、来年5~7月に初出荷する計画だ。
十勝など道東地方では、十勝ワインを生産する池田町ブドウ・ブドウ酒研究所に次いで56年ぶり、2カ所目のワイナリーになる。
同社は市内や大樹町に所有する5・5ヘクタールの畑で、ワイン醸造用品種の「山幸」「清見」「清舞」や、山ブドウを無農薬で栽培している。これまでブドウは、ジュースやジャムの加工、他の醸造所への委託でワインを製造してきた。自社での醸造を目指して免許申請とワイナリー建設を進めていて、交付が決まった24日午後、十勝総合振興局で相澤代表(36)らが発表した。
完成したワイナリーは平屋建て167平方メートルで倉庫兼作業場を隣接する。仕込み機や貯蔵タンク、瓶詰め設備などをそろえた。製造能力は年約1万5000本。初年度は約8000本の製造を予定している。インターネットでの販売を中心に自社農園の直売所、地元の酒店やデパートでの取り扱いも計画する。
同社のワイン造りは相澤代表の父で農場長の龍也さん(64)が1998年芽室町内でブドウ栽培に着手してからの念願。龍也さんは「20代からワインは造りたいと思っていたから40年来の思い。(免許が取れて)ようやくワインが造れることになり、今までと見る景色が違う」と喜びを表した。
今年産のブドウは、夏場の低温で収量は少なめだが質は上々の見通し。10月上旬から収穫を始めて仕込みする。発酵や熟成の状況によるが、早ければ来年5月にも出荷が始まる見通し。
相澤代表は「目標はワイナリーがもっと増えて、『ワインと言えば十勝』という地域になること。そのためにも自分たちが、おいしいワインを造りたい」と意欲を話した。(安田義教)