帯広畜大と敷島製パン パン開発へ共同研究講座を設置
帯広畜産大学と大手製パン会社の敷島製パン(名古屋)は23日、製パンに関する共同研究講座を設置したと発表した。これまでの連携を発展させ、北海道発のパン開発や国産小麦拡大による食料自給率向上を図る。同大によると、製パン研究の講座開設は国内大学で初。
奥田潔学長と盛田淳夫社長が同日、同大で会見した。両者は2012年に包括連携協定を結び、大学敷地内に製パン実験施設を設置してパンや乳酸菌などの共同研究6件を実施。11件の特許出願や、「畜大パン」「パネトーネ」の商品開発などの成果につながった。
研究をより深く、速く進めるため、共同研究講座を設置した。これは同大が今年度創設した制度で、企業からも研究員を派遣するなど大学と企業が人員や研究費を持ち合い、期限を定めて成果を出すのが特徴。知的財産などの研究成果は共有する。
今回設置した「パスコ未来パン共同研究講座」の期間は2020年度までの2年間で、研究費は440万円。道産原料にこだわり、(1)小麦品種「ゆめちから」から分離した新たな菌株を使った付加価値の高いパン開発(2)生地中で増殖させた微生物のガスを使った伝統的なパン作り-の2件の共同研究を行う。
同大の山内宏昭教授や同大大学院に社会人入学している敷島製パンの北原拓真さんらが研究を担当。学生も研究に携わり、人材育成に役立てる。
会見で盛田社長は「研究内容を深掘りし、ゆめちから乳酸菌を元にした新しいパンができることを期待したい。北海道の農産物と組み合わせ、消費拡大に貢献したい」と強調。奥田学長は「大学の使命である、社会のニーズに即した人材育成が可能となる。十勝農業や北海道の経済・産業発展に寄与したい」と語った。
同社は「パスコ」ブランドで知られる業界第2位の製パン会社。道内に生産拠点はなかったが、13年から札幌中心にベーカリーショップを展開する。十勝への進出について盛田社長は「状況が許せば、帯広にも何らかの形を作りたいと考えている」と話した。(池谷智仁)