士幌高 家畜に好環境 高校初の認証取得 生乳も価格向上
【士幌】士幌高校(近江勉校長、生徒140人)が、家畜にとって快適な飼育環境に配慮する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の認証を取得した。全国の高校では初めて。家畜の病気やストレスの軽減、畜産物の品質向上につながる制度で、同校では校内で生産している生乳の取引乳価の上昇につながった。
士幌高校では既に一部の作物で、農産物の国際規格「グローバルGAP」を取得。畜産物でも安全性や品質の高さを示す認証取得を模索した。牛の飼料となる牧草は無農薬、無化学肥料で育てているため雑草が茂りやすく、良質な飼料確保などの課題もあった。
AW認証には初年度に審査を2回受ける。「動物」「施設」「管理」の評価項目で、それぞれ80%以上達成することが条件。昨年9月の1回目の審査では各項目を達成したが、一部の牛のひづめの炎症や、飼料の分量が基準値をやや上回るなどの反省材料もあった。
昨年12月の2回目の審査ではこれらの課題も改善し、審査を通過。認証取得により、町内の第三セクター「Cheers(チアーズ)」と取引している同校の生乳の乳価は20円上昇し、120円となる見通し。収益は年間92万円増えるという。今後は生乳を使った加工品のブランド化に向け、校内の食品加工研修センターでも来年度、AW取得を目指す考えだ。
審査員への説明役も務めた畜産専攻班3年の田川幹さん(17)は「(認証取得で)士幌の畜産への注目度が上がる。農業クラブの発表大会でもPR材料が増えるのでうれしい」と話している。(安倍諒)
<アニマルウェルフェア(AW)>
餌や飼育スペースなど動物に配慮した飼育環境を守るという欧州発祥の考え方。認証制度は、道内の酪農関係者らでつくる一般社団法人「アニマルウェルフェア畜産協会」(中札内村、代表・瀬尾哲也帯広畜産大学講師)が2016年に創設した。