秋桜窯の佐藤さん、16日から十勝初の個展 Uターン移住20年
【幕別】アトリエ秋桜窯(町千住397)を主宰する陶芸家の佐藤二三子さんが東京から故郷にUターンし、20年目を迎えた。16日~7月1日には北海道ホテル(帯広)で十勝では初めての個展となる「佐藤二三子作陶展」を開く。「大自然の色や形に勝るものはない。自然豊かな十勝、幕別は創作活動に最適な場所」と話し、優しさや温かみを感じさせる独自の陶器を生み出し続けている。
佐藤さんは町札内出身。帯広市内の高校を卒業後に東京の短大へ進学。結婚後に藤田重良右衛門氏に師事し、1980年に東京都町田市に秋桜窯を開いて独立した。伝統工芸武蔵野展や伝統工芸新作展に複数回入選するなど活躍していたが「故郷で創作したい」という思いから、夫正行さんの定年退職を機に1999年10月に地元幕別へ。2000年11月に現在の場所に自宅兼アトリエを構えた。
作品は「ちょっとしたおもてなしのための器」(佐藤さん)が主となる。四季を感じさせる茶碗や菓子鉢は、東京で茶道の小堀遠州流家元から直接学んだ経験が生かされている。題材は十勝で群生するオオバナノエンレイソウなど身近にある花や野菜が多い。
地下の工房で陶器作りに励み、アトリエ内のギャラリーで作品を展示。併設のティールームでは、北海道フードマイスターでもある佐藤さんが午前4時に起きて調理した十勝産ブルーベリーのヨーグルトケーキやチーズケーキなども味わえる。
町の「いきいきエンジョイ教室」では2000年から町民に陶芸を指導。これまで数百人に陶芸の魅力を伝えてきた。今年度で同教室の指導を終えることもあり、管内で初の個展を開くことを決めた。
東京では松屋銀座などで個展を開いていたが「当時の個展は作家の個性を示す場。色でいえば一色だった。十勝では私のさまざまな色を見てほしい」とバラエティーに富んだ約150点が並ぶ予定。
ティールームを手伝う正行さんは「おいしいものを食べてゆったり過ごせる。移住してきて良かった」と笑顔を見せる。佐藤さんは「20年はあっという間。陶芸は大変だけど楽しくて幸せ。創作はやってもやっても満足することはない。まだ夢の途中です」と話している。
ギャラリーやティールームは木曜-日曜営業。時間は午前9時~午後5時。問い合わせは同アトリエ(0155・56・7030)へ。(松村智裕)