元気な笑顔を遺影に メークと撮影 プロが出張 VESSとフジタスタジオ
より良い最期のため、元気な笑顔を-。出張理美容サービスを手掛けるVESS(ベス、長岡行子代表)と帯広市内の写真館フジタスタジオ(藤田義隆社長)がタッグを組み、生前に遺影を撮影する新サービスを今月中にも始める。希望する高齢者の自宅や老人福祉施設などにプロのスタイリストとカメラマンが出張し、髪形からメーク、服装まで整えた上で撮る。
高齢者の間では、自分らしく人生の最期を迎えるための「終活」が浸透しつつある。写真館による生前の遺影撮影出張サービスは増えているが、出張理美容と遺影撮影をパッケージにしたサービスは全国的にも珍しいという。
今年、出張理美容サービスで成人式を迎える女性のヘアメークとスタイリングを担当した長岡さんは、女性の祖母から「私もお願いしたい」と頼まれた。その時に撮った写真に「これを遺影にする」と感激する一家の姿を見て、事業化を検討した。
一方、遺影の作製や、葬儀の際の集合写真なども引き受けるフジタスタジオの藤田徹さんは、古くなった紙焼きや証明写真などを引き伸ばし、遺影に加工する仕事を多く経験。「亡くなった方やご家族のためにも『ベストな1枚』を残しておけないか」と考えていた折、親交のある長岡さんと協力することにした。
新サービスはVESSのスタッフと藤田さんが依頼者の元を訪ね、ヘアメークとスタイリングを行った上で撮影に入る。プロが仕上げた写真を後日、六つ切り写真とCD-Rで提供する。基本料金はヘアメークから撮影、写真提供までのパッケージで2万2140円(税込み)。家族写真の撮影などでメークの人数やプリントが増える場合は、要相談としている。
「高齢者の皆さんには、ご家族のためにもぜひ、一番いい笑顔の写真を残しておいてほしい」と長岡さん。藤田さんは「親御さんが亡くなった後に孝行をするのは難しい。高齢者を家族に持つ皆さんにも利用を考えてほしい」と呼び掛けている。問い合わせはVESS(0155・38・3558)へ。(奥野秀康)