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流木、秋サケ定置に打撃

流木を積んで大津漁港に戻った漁船(3日)

漁獲「10分の1以下」

 【豊頃・大樹・広尾】台風による大雨の影響は十勝管内の主力漁業、秋サケ定置網漁にも及んでいる。台風接近で漁の開始が遅れた上、河川増水による大量の流木で、いまだに網を設置できていない場所もある。水揚げは例年同期の10分の1以下の所もあるなど大幅ダウン。流木は網を傷つける恐れもあり、不安を抱えた漁が続いている。

 今年の管内の定置網漁は、8月30日に陸に近い陸網が、9月1日に沖網が解禁されたが、台風接近で各漁協は網の設置を見送った。1日から順次設置し漁を始めたが、大量の流木が海上や沿岸にあり、網や船を傷つけないよう回収作業と並行した漁が続く。

 豊頃町の大津漁協は8月31日に予定していた初水揚げが3日遅れ、10日までの水揚げは280トンと前年同時期の7割減。11カ統で漁を行っているが「すべてに網がまだ入っていない。流木が多いため河口部は特に大変だ」とする。

 広尾漁協では、9月4日までにほぼ網を設置し終えたが、同日時点の漁獲は13トン。昨年の170トンと比べると10分の1以下だ。ある漁業者は「増水で濁った水が海に流れ込み、来遊に適さない温度まで水温が上がっている」と指摘。「沖網にすら魚が入っていない」と、沿岸にサケが寄りついていないと嘆く。

 大樹漁協では管内で最も早い、2日に初水揚げしたが、10日までで前年比3割強少ない175トン。十勝を含むえりも以東西部のサケの来遊予想数は15年実績10・9%増となっているが、「魚が来ている感じではない」。漁業関係者は「サケを取っているのか、流木を取っているのか分からない。国の対策を求めたい」と要望している。(伊藤亮太、関坂典生)

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