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日進、西芽室 配水届かず

自動給水機が使えず、牛舎に1000リットルの桶2つを設置して対応する小川さん

 【芽室】台風10号による芽室川の氾濫で、営農用水の取水施設などが被害を受け、町内の渋山、上芽室、西芽室地区の80世帯で8月31日から断水が続いている。町は消防車などで各地域に設置されたファームポンド(FP、貯留施設)に給水し各家庭に配水しているが、上室地区の日進と西芽室地区では日進橋が崩落して導水官が破損したため、配水が届かない状況。同地域の約20世帯は水の確保に苦慮している。

 町によると、被害を受けたのは国営御影地区営農用水。同用水は芽室川から取水する「頭首工」、ろ過を行う「調整池」を経て各地に設置されているFPを通じて各家庭や農業用水施設に配水される。台風で調整池などが被害を受け、芽室川からの取水ができず、「(復旧の)見通しが立たない状況」(農林課)という。

 町は今月3日から各地域の4つのFPに毎日150トンの水を供給している他、各会館に飲用水のペットボトルや生活用水を配置し、町内の温泉施設の無料入浴券を配布している。FPからの水が配水されない日進、西芽室地区では酪農家4軒に営農用水計40トンも配水しているが、それでは足りずに確保に追われる農家も。

 乳牛約600頭、肉牛約400頭を飼養する小川牧場の小川豊取締役(58)は毎日、職員と交代で町新生南の水源まで10往復以上して水の確保に努める。牛の飲み水を中心に1日90トンの水が必要だが、牛舎の自動給水機が使えず、1000リットルの桶2つを牛舎の一角に設置して対応する。「早く復旧してくれないと他の仕事ができない。給水官だけでも応急で復旧してほしい」とため息をつく。

 同地域で畑作を営む河野豊さん(58)「これから小麦の防除が本格化するので、多くの水が必要となる」と懸念し、「町内でも被害を受けた人と受けていない人の間で温度差を感じる」と打ち明ける。夫が畑作を営み、5歳と2歳の女児を持つ同地域の主婦(30)は「畑も心配だけど、私生活にも大きな支障。冬になれば国道もふぶくので、水を取りに行けるかどうかも分からない」と不安な表情をみせる。
(澤村真理子)

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