新得町にゆかり、宮下さん本屋大賞
【東京】「2016年本屋大賞」の発表・贈賞式が12日午後、都内の明治記念館で開かれ、新得町に住んだことがある宮下奈都さん(49)=福井県在住=の「羊と鋼の森」(文藝春秋)が大賞に選ばれた。北海道の山村で育った主人公の成長を描いた作品で、宮下さんは「北海道の素晴らしい景色を表現した」と受賞の喜びを語った。
同賞は「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」と銘打ち書店員の投票で決定する。「博士の愛した数式」(小川洋子さん)「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(リリー・フランキーさん)など、過去の受賞作は続々と映画化、ベストセラーになっている。13回目の今回は、14年12月~15年11月に刊行された日本の小説を対象に、一次審査でお笑い芸人ピース又吉直樹さんの芥川賞受賞作「火花」など10作品がノミネートされ、276書店の331人が投票し決定した。
宮下さんは1967年福井県出身。上智大学文学部卒。04年に「静かな雨」でデビューし、「誰かが足りない」が12年の本屋大賞にノミネートされ7位だった。13年から1年間、山村留学制度で、家族5人で新得町トムラウシに暮らし、当時をつづったエッセー「神さまたちの遊ぶ庭」(光文社刊)も出版している。
受賞作は少年がピアノの調律師として成長する姿を描いた作品で、書店員から「ひたむきな主人公に共感する」などの言葉が寄せられた。宮下さんは式で「『初版が6500部の小説が本屋大賞とは前代未聞』と言われ、知名度の低さは抜群だが、書店員に選んでいただけ、誇りに思う」とスピーチした。
宮下さんは報道陣に「北海道の山の中の素晴らしい景色の中で暮らしていたので、ぜひ織り込みたいと思った」と語った。同日発刊された「本の雑誌 増刊 本屋大賞2016」でも「知らない誰かが応援してくる。私の本を好きだと言ってくれる。十勝の青く高い空のように晴れ晴れとうれしかった」との喜びの言葉をつづっている。(原山知寿子)
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◆本屋大賞について
・「2016年本屋大賞」結果発表!-NPO法人 本屋大賞実行委員会ホームページ