もっちりと軟らかい「全粒食パン」開発 帯畜大と満寿屋商店
帯広畜産大学(長澤秀行学長)とパン製造・販売の満寿屋商店(帯広市、杉山雅則社長)は共同研究で、従来より高い割合の全粒粉を配合した新商品「満(みちる)全粒食パン」を開発した。一般的な全粒粉パンとは違い、口溶けがよく、もっちりとした食感が特徴。9日に市内の「ボヌールマスヤ」(西17南3)で販売を始める。
全粒粉は、小麦を表皮や胚芽も含めて丸ごとひいたもの。ミネラルや食物繊維が豊富な一方、表皮などを取り除いた小麦粉に比べ、「食感が堅い」「ボリュームがでない」などの難点がある。
開発は同大修士課程1年の松下耕基さん(23)=食品化学専攻=と同社地産地消部の安藤里奈さん(21)が中心となり、3月上旬に着手。松下さんが同大の製パン実験施設「とかち夢パン工房」でデータ測定を行い、それを基に安藤さんが製パンを担当した。
新商品は全粒粉の中力粉の「きたほなみ」と、通常の小麦粉の「春よ恋」をそれぞれ40%、「ゆめちから」を20%使用した。粒の大きさを通常の半分程度にした「微粒全粒粉」を使用することで、一般的なパンに比べ、全粒粉の配合比率を約2倍にまで高めることを実現。また、小麦の一部に熱湯を加える湯種製法で加水率を高め、膨らみのあるしっとりとした商品に仕上がった。
ボヌールマスヤで販売するのは食パン(1斤292円)と2種のサンドイッチ(260円)で、今後は他の店舗でも販売を広げる予定。
松下さんは「研究成果を形として残せた達成感がある」とし、安藤さんは「現場では感覚でやっていることをデータで見ることができ、分からなかったことが分かった。今までにない新しい全粒粉パンを食べてほしい」と話している。(高津祐也)