孵化場のミヤベイワナ2年魚半減 鹿追 野鳥捕食か
【鹿追】然別湖に注ぐヤンベツ川で町が運営するミヤベイワナの孵化場で、今年放流予定の2年魚約5万匹が、野鳥の捕食とみられる被害に遭い、半減していたことが分かった。被害は2月中旬に発覚しており、20日の町議会議員協議会で町側が「事故報告」を行い、報告が遅れたことと、管理が十分でなかったことを陳謝した。
孵化場では湧水を使った外池で体長約5センチほどの稚魚を飼育していた。職員は常駐ではなく、2日に1回訪れており、2月中旬に魚影が薄くなっていることに気付いた。孵化場内に野鳥がいたことも確認、大量に捕食されたと見ている。
孵化場周辺で10羽ほどが確認されたのはカモ類の「カワアイサ」。冬鳥として渡来する渡り鳥で、道内では留鳥として繁殖している地域もある。潜水して魚類を捕食しており、本州では大量の飛来により食害が問題になった事例もある。
町商工観光課では20日までに、被害拡大を防ぐため目玉模様の入ったバルーンを設置した。「国立公園内のため、ネットの設置については環境省と協議している。初めてのケースであり専門家の助言も得たい」としている。湖周辺には希少鳥類も生息しているため、慎重な対応を迫られている。
ミヤベイワナは然別湖だけに生息するオショロコマの亜種。資源保護のための町による孵化・放流事業は1970年代に始まった。現在は期間限定で遊漁を解禁している。
(古川雄介)