寒さ対策必要性実感、泊まりがけで災害訓練体験会 幕別
【幕別】あかしや南2公区(工藤伸公区長)が初めて企画した「冬季に泊まりがけで自助防災を体験する会」が7、8日、あかしや南近隣センターで開かれた。役場職員を含めて延べ26人が参加。うち9人が宿泊体験に臨み、電気もなく、最低限の暖房という被災下を想定した条件で一夜を過ごした。工藤公区長は「訓練と分かっていても寒さと不安は想像以上。備えの大切さを実感した」と話した。
体験会は「断水・停電・ガス遮断、公助無援」の設定で、1部が生活体験(午後4時~同6時)、2部が宿泊体験(午後7時~翌朝午前7時)。住民の他、町から川瀬俊彦民生部長ら6人も駆けつけ、係長以下の3人は宿泊もした。
1部では、通常の外出時より1、2枚多めに着込んだ参加者が、施設に保管された懐中電灯3個だけの明かりで暖房もつけず、配給されたバターロールと水を口にして過ごした。土尻比呂美さん(70)は「訓練と分かっているから頑張れるが、いつまで続くか分からない状態ではつらい」、村上典子さん(62)は「温かい食べ物のありがたみを実感した。甘めのパンの方が、疲れが幾分和らぐとも感じた」と話した。
2部は40畳ほどあるスペースで、当初は2台ある電池式の灯油ストーブのうち1台だけつけ、持参した寝袋で横になった。施設完備の毛布を上にかけるなどしたが、途中、寒さで2台目のストーブも使った。
宿泊体験に臨んだ工藤公区長は「ストーブの炎は寒さ対策だけでなく、心の安心にもつながり、暖房の確保の重要性を実感した。体験談をまとめ、備えの大切さと、想像以上につらいということを多くの人に伝えたい」と振り返った。
同公区は自主防災組織を立ち上げた1995年から毎年、防災訓練を行っているが、高齢化が進む中「自助」対策を考えようと体験会を企画した、町は「宿泊を伴う訓練は聞いたことがない。町の防災対策にも生かしたい」(町民課)としている。(佐藤いづみ)