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母国・比の台風災害に心痛める 帯畜大留学生のサンチャゴさん

携帯電話で母国の情報を確認するサンチェゴさん

 記録的な巨大台風が上陸し、深刻な被害を受けたフィリピン。同国出身の帯広畜産大学留学生サンチャゴ・デニスさん(32)=博士課程1年=は、甚大で長期化する母国の惨状に心を痛めている。一方、十勝からの現地への救援金は低調で、デニスさんは「世界からの支援には感謝しているが、現地の現状に目を向けてほしい」と訴えている。

 デニスさんは、昨年9月にフィリピン大から国際交流協定を結ぶ帯畜大に留学した。専攻は生物資源科学で、主にイモ類の研究をしている。出身地は同国ラグーナ州ロスバニョス市。幸い被害は免れた。被害が大きかった同国中部のレイテ島から北西600キロに位置する。

 最初にニュースを知ったのはインターネットのニュースサイト。「フィリピンは年に20個ほどの台風が通過するので、大した被害ではないと思っていた」。しかし、同国のテレビ番組が見られるサイトで高波が島の家屋をのみ込む映像を見て、大きなショックを受けた。



 レイテ島は農業地帯。台風による高波の発生で9割以上の家が全半壊した。デニスさんの留学期間は約2年間の予定で、将来的には知識を母国に持ち帰り、農業技術向上に役立てたいと考えている。「十勝で学んだことを研究者として生かしたい」と復興を願う。

 自身が所属する帯畜大留学会「OUISA」のメンバー同士でもお金を集め、被災地に寄付する予定で準備も進めている。デニスさんは「日本とフィリピンは友好関係があり、大変ありがたい」と、各国からの多くの義援金の寄付に感謝する。

 一方、日本赤十字社帯広市地区(地区長・米沢則寿市長)は11日から、事務局の市社会課で救援金を受け付けているが、寄せられたのは1件1000円だけ(20日現在)。日赤は国内外の災害や紛争の被害状況に応じて救援金を募集しているが、今年は既に伊豆大島の台風など14件(昨年8件)でそれぞれ募集している。

 同課は「異常気象で災害が続発し、市民の関心が薄れているため」と分析。「来年2月28日まで受け付けているので支援を」と呼び掛けている。
(高津祐也、原山知寿子)

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