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コムギ縞萎縮病に強い 秋まき小麦新品種「きたほなみR」

道総研 北見農業試験場 研究部 麦類畑作グループ
    中央農業試験場 作物開発部 作物グループ・生物工学グループ、加工利用部 農産品質グループ、遺伝資源部 遺伝資源グループ
    上川農業試験場 研究部 水稲畑作グループ
    十勝農業試験場 研究部 豆類畑作グループ・生産技術グループ

1.背景
 「きたほなみ」は北海道の小麦作付け面積約13.0万haのうち9.0万haを占める日本めん用の基幹品種であるが、コムギ縞萎縮病(以下、縞萎縮病)抵抗性は“やや弱”と不十分である。一方、北海道優良品種の中で唯一縞萎縮病抵抗性が“強”である秋まきパン用小麦品種の「ゆめちから」は2.0万haの作付けがあるが、需給バランスの面でこれ以上の作付け面積増加は難しい。そのため、需要の大きな日本めん用で縞萎縮病抵抗性を有する品種が強く求められている。

2.育成経過
 日本めん用で収量性と各種障害耐性の優れた「きたほなみ」を母に、個人育種家による育成系統で縞萎縮病抵抗性を有する「OW104」を父として人工交配を行い、その後縞萎縮病抵抗性遺伝子(Ym4)に連鎖したDNAマーカーを利用して抵抗性型を選抜しながら、「きたほなみ」を計5回戻し交配した後代から選抜、育成した品種である。

3.特性の概要
 「きたほなみ」と比較して次のような特性がある。
1)縞萎縮病に抵抗性を持つ(表1)。
2)耐雪性は“やや強”、穂発芽性は“やや難”、赤かび病抵抗性は“中”、赤さび病抵抗性は“やや弱”で、いずれも同程度である(表1)。
3)収量性は、縞萎縮病発生圃場では平均で2~3割程度高く、未発生圃場では「きたほなみ」と同程度である(表2)。
4)縞萎縮病未発生条件では成熟期と稈長、千粒重、原粒の蛋白質含量、容積重は同程度である(表2)。
5)「きたほなみ」と同等の製粉性、製めん適性を有している(表3、4)。

4.普及態度
 2024年3月に品種登録出願を行い、同年8月に出願公表されている。
 「きたほなみ」の全てに置き換えて普及することで、道産小麦の安定生産に寄与できる。
1)普及見込み地帯:北海道
2)普及見込み面積:90,000ha
3)栽培上の注意事項:
(1)既往の「きたほなみ」の栽培法に準じる。
(2)縞萎縮病抵抗性は“強”であるが、栽培にあたっては適正な輪作を守る。


詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研北見農業試験場 麦類畑作グループ
電話(0157)47-2146
Email:kitami-agri@hro.or.jp

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