飼料中リジン含量の調節による霜降り豚肉の作りかた
道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ
1. 試験のねらい
飼料中リジン含量を低下させた飼料を肥育後期豚に給与することで筋肉内脂肪含量が高くなるとの報告があり、特徴ある豚肉の生産技術として期待されている。本課題では筋肉内脂肪含量の高い豚肉生産に最適な飼料中リジン含量を示すとともに、飼料中リジン含量の違いが枝肉各部位の筋肉内脂肪含量に及ぼす影響を明らかにする。
2. 試験の方法
1)肥育後期豚にリジン含量を低減した飼料を給与し(低リジン区:リジン含量0.4%)、発育、肉質および食味について市販飼料を給与した場合(市販飼料区:リジン含量0.8%)ならびに低リジン区の飼料にリジンを添加した場合(標準リジン区:リジン含量0.8%)との比較を行った。
2)肥育後期豚に飼料中リジン含量を0.4%~0.7%に調節した飼料を給与し、発育および肉質について調査するとともに、枝肉各部位の筋肉内脂肪含量について評価した。
3. 成果の概要
1)低リジン区では市販飼料区および標準リジン区と比較して日増体重が低く発育の遅延がみられた。一方でロース中筋肉内脂肪含量は去勢雄・雌ともに他区よりも高く、特色ある豚肉としての販売が想定される5%以上の筋肉内脂肪含量を示す個体の割合が多かった(表1)。群飼においても発育、筋肉内脂肪含量ともに単飼と同様の傾向を示し、食味検査では市販飼料区と比較して遜色のない結果が得られた。
2)(1) 飼料中リジン含量を0.4%~0.7%に調節した飼料を給与した結果、リジン含量が低いほどロース中筋肉内脂肪含量が高くなる傾向が確認され、リジン含量0.4%および0.5%の場合に、去勢雄ではすべての個体、雌では2/3以上の個体でロース中筋肉内脂肪含量5%以上を示した(表2)。また、発育に関しては飼料中リジン含量との間に明瞭な関係はみられなかった。
以上、試験1)および試験2)の結果を総合すると、発育の低下を抑えつつロース中筋肉内脂肪含量を高めるための飼料中リジン含量は0.5%が適当であると考えられた。
(2) 枝肉各部位(ソトモモ、ウチモモ、ウデ)においても、飼料中リジン含量が低いほど筋肉内脂肪含量が高くなる傾向を示すことが明らかとなった(図1)。
4. 留意点
本成果は特徴ある豚肉を生産するための技術として活用する。
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道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ 甲田洋子
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