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帯広・十勝にスロープを増やそう とかち子育て支援センター

受け渡し式に臨んだ(写真左から)杉山さん、内藤さん、渡辺さん、長岡さん、石塚さん

 帯広・十勝の街にスロープを増やそう-。持ち運び型スロープの踏み板を広告スペースに活用し、施設や自宅にスロープを導入する人を支援するユニークな取り組みが帯広市内で始まった。企業から広告を募って高額なスロープの導入費用(10万~20万円)を半分に引き下げるもので、全国でも珍しい福祉事業のモデルケース。車椅子利用者や高齢者らに優しい街づくりのきっかけになることが期待されている。

 一般社団法人とかち子育て支援センター(長岡行子代表理事)が事業主体となり、広告を出したい企業と、持ち運び型スロープを導入したい施設や人を結び付ける。

 長岡さんは2016年にクラウドファンディングを実施。車椅子利用者らが使える管内施設をまとめた障害者向け情報誌を製作した。しかし、車椅子利用者らが出掛けてみると、「車椅子の人も利用可能」としている施設にスロープがなく、「トイレに行けない」「そもそも玄関にたどり着けない」といったケースが数多くあったという。

 このため、帯広市内で福祉車両や車椅子のカスタマイズを行う「イフ」の内藤憲孝社長に持ち運び式スロープの購入や設置方法を相談。高額な導入費用を企業の協力で引き下げるアイデアに行き着いた。

車椅子を利用する人が広告を踏みしめてスロープを渡ることになる(写真は使用イメージ)

 スロープの踏み板に広告を貼り付けるため、工夫を凝らしたのがワタナベ工芸(音更)の渡辺慎太郎社長。床の滑り止めなどに使われる特殊なステッカーを活用、使う人が広告を踏みしめて企業名を覚えるというユニークな宣伝手法を実現させた。

 帯広市内で22日に初の受け渡し式が行われ、福祉タクシー「ハートランド」の杉山高志代表がスロープを受け取った。杉山社長は「今まで段差がある時は自分の腕でお客さんを抱えていたが、これからは乗り降りする時の介助がより安全になる。(スロープは)高い買い物なので、本当にありがたい」と感謝していた。

 一方、広告を出した石塚建設(音更)の石塚龍一社長は「もっと優しい街にできるんじゃないかと思って協力させていただいた。車椅子を使う人に、企業ロゴを見て『いろいろな人に支えられているんだ』と感じてもらえたらうれしい」と話した。

 長岡さんは「今後も取り組みを続け、帯広・十勝を誰もが暮らしやすい街にしたい。趣旨に賛同してもらえる企業や、スロープの導入を考えている人は声を掛けてもらえれば」と協力を呼び掛けている。(奥野秀康)

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