全国で減り続けていくパチンコ店 十勝管内各店もコロナでダメージか
「時代に合った変革必要」
全国的にパチンコ店の減少が続いている。パチンコ業界はもともと、ギャンブル依存症対策のための規制強化などで衰退傾向にあった中、コロナ禍が追い打ちをかけた。比較的堅調とされた十勝でも閉店が相次ぎ、客からは「打つ店が少なくなって寂しい」との声も。業界では健全化を進めつつ、時代に合った魅力向上策の模索が続く。(山田夏航)
ピークの半数以下
警察庁によると、2021年の全国のパチンコ店(営業許可数)は8458件。娯楽の多様化などで徐々に客足が減り、ピーク時(1995年)の半数以下となっている。また、帝国データバンクの調査によると、経年比較できる全国1691社の売上高合計は、コロナ禍前の2018年が15兆3579億円だったのに対し、コロナ禍初年の20年は13兆2374億円。13・8%の減収となった。
十勝管内でも1990年代後半には少なくとも60店以上あったが、地元資本の小規模店を中心に淘汰(とうた)が進んだ。さらに、ここ2年余りの間に32店から27店へと減少した。30年以上の歴史を持ち、管内で「オペラ」(帯広市西21南4)など3店を運営するジェネシス(音更町、島崎秀夫社長)の竹澤新司常務は、短期間に閉店が相次いだのはコロナ禍の影響が大きいと分析。「住民の所得減や外出自粛によって、当グループも3年前に比べ客は3割、売り上げは15%減少した。(コロナが落ち着き)徐々に客足が戻ってきている印象だが、先行きが不透明ということで店じまいする所が増えたのだろう」と話す。
広告規制厳しく
パチンコ店はコロナ禍以前から、広告・宣伝規制が打撃となり、経営体力を奪われていたという。2012年から、風営法違反に当たる広告・宣伝規制が徹底され、「○の付く日はアツい」といった、射幸心をあおるような文言が禁止に。また、チラシや看板、SNSで、「7」など大当たりを連想する数字、特定の機種を勧める表記、芸能人の来店案内などを掲載することもできなくなった。
竹澤常務は「単に社名を伝えるCMや、新台入れ替えなどは大丈夫だが、基本的に客を呼び込むための広告は一切できなくなった。じわじわと各店に影響を与えてきた」とする。
他にも、18年には大当たりの最大出玉が2400個から1500個に変更。20年に施行された改正健康増進法で、原則屋内禁煙となったことなども逆風となった。
一部緩和、増客期待
一方で、パチンコ業界の健全な運営に向けた自主的な取り組みなどの結果、警察庁が広告規制を緩和する動きも出てきている。昨年12月からは、「創業記念日」や「オススメ機種」を示すことが可能になった。竹澤常務は「少しは増客を見込めるかと思う」と期待。業界の将来について、「今後は、例えばオンラインで客同士が協力して打てるパチンコなど、時代のニーズに合わせて変革することが必要」と話している。