藤丸は「家族の絆」の象徴 100周年チラシモデル田頭さん一家
帯広市の田頭さん一家は、2000年3月に開催された「藤丸創業100周年大感謝祭」のチラシのモデルになった。祖母と両親、娘と共に、春らしいピンク色のシャツに身を包んで写った水本(旧姓田頭)奈緒さん(46)は、「撮影に慣れない私たちをカメラマンが笑顔にしてくれて、生後4カ月だった娘の機嫌も良かったことだけはよく覚えている」と懐かしむ。(大海雪乃)
新得町で子育てをしていた奈緒さんは、帯広の実家に帰省していた1999年の冬、藤丸で記念広告用に3世代以上の家族モデルを募集している新聞記事を読んだ。ちょうどその場に4世代がそろっていたことから、家族写真を撮って勢いで応募。年明けに藤丸の担当者から当選した旨の電話があった。3組の応募があり、田頭さん一家だけ4世代だったことが決め手だったとの話を聞いたという。
数日後に市内の写真館で撮影が行われ、高校生だった妹の望都(もと)さんと志穂さんは、学校帰りに制服姿で合流。両親は市内で営む飲食店「ペニーレーン」の営業の合間を縫って駆け付けた。用意されたブランド品のシャツやセーター、ワンピースにそれぞれ着替え、カメラに向かって笑みを浮かべた。母照美さん(67)は、「ものすごく緊張して汗だくだった」と振り返る。
チラシは見開きで、人気催事「全国うまいもの大会」の告知や「100のつくバーゲン」と題した企画で10万円のバッグ、1万円の靴などが掲載されている。配布された後には、藤丸で店員に声を掛けられることもあり、「照れくさかった」と奈緒さん。「中高生の頃はレストランでよくチキンバスケットを食べたし、制服や結婚指輪、ベビー服など節目はいつも藤丸。ずっとあるのが当たり前だと思っていた」と閉店を惜しむ。
チラシに写る祖母の八鍬テル子さんは、昨年3月に94歳で逝去。テル子さんに抱かれる奈緒さんの娘凌さんは23歳になり、札幌で看護師として働いている。母照美さんは、「世代をつなぐ家族の絆になるような思い出をいただき、言葉では言い表せないほどの感謝で思いはいっぱい」と話す。